渋谷区恵比寿の歯科医院|SHIRON DENTAL OFFICE(シロンデンタルオフィス)

セラミック材料の近年の発展を基礎から詳しく解説します。

セラミックスは、現在では金属以外の無機質固体材料の総称になっています。
固体には原子や単位構造が規則正しい配列をしているものと不規則な配列をしているものがあります。

前者を結晶、後者をガラスと呼びます。
歯科用セラミックスの代表はポーセレン (陶材)で、これは本来ガラス(磁器)です。

ポーセレンは歯科審美修復には最高の材料でしたが、 脆性で破壊しやすいため、金属フレームへポーセレンを焼付ける陶材焼付金属冠が審美と強度を兼ね備えた装置として用いられてきました。

しかし、さらに審美性に優れたオールセラミックスへ移行するため、弱点であった強度を改良した優れた歯科用セラミックスの開発が進められてきました。その流れは、ガラスから結晶質材料への流れです。

2000年になってジルコニアが登場し、透光性の改良とともにフレーム材料からモノリシック材料まで幅広く利用されるようになりました。
近年、 CAD/CAMとネットワークの発達により、アルミナやジルコニアの高密度多結晶焼結体を始め、セラミック材料に対してCAD/CAMの適用が広く普及してきております。

ジルコニアが登場により、オールセラミック修復が臼歯部クラウン・ブリッジやインプラント上部構造まで適用できるようになり、新しい時代の幕開けとなりました。

このジルコニアの登場で、固定式補綴装置作製の世界が一変したと言っても過言ではありません。
従来型ジルコニアでは傷の先端(正方晶)に応力が集中すると本来室温で安定な単斜晶に戻りつつ膨張することにより傷を閉じ込め亀裂の進展を防止します。

これにより、従来のセラッミックの常識では考えられない非常に高い曲げ強さと破壊靭性を有しています。
この材料は透光性が低いので咬合面への適用は難しく、当初オールセラミックブリッジのフレームワークに適用されました。

しかし、前装のポーセレン焼成作業が煩雑であることや、ポーセレンのチッピングが生じたため、臨床現場からは透光性を改善してモノリシック用途に堪えられる材料の出現が待たれました。

従来型ジルコニアは強度を高めるために、イットリアに加えて極微量のアルミナを含んでいました。
これが結晶粒界で光を散乱して透光性を低下させるので、不純物量を極力少なくして透光性を改善した正方晶ジルコニアが利用されました。

これを透光性ジルコニアと呼び、審美の要求があまり強くない臼歯部クラウンへのモノリシック用途で使用されました。

しかし、ポーセレンやガラスセラミックに比べると透光性が劣り、審美領域への適用は困難でした。
そのため、イットリア配合量を増やし透光性の高い立方晶を混在させたジルコニアが開発されました。

イットリアのモル数を増やした高透光性ジルコニア材料は透光性がポーセレンに近づいたので超高透光性ジルコニアと呼ばれます。

しかし、立方晶の析出は正方晶と異なり強度向上にはつながらないので、超高透光性ジルコニアでは従来型ジルコニアの半分程度まで低下しました。

従って、高透光性ジルコニアは臼歯部のモノリシック、超高透光性ジルコニアは前歯部のモノリシックに適用が可能と考えられております。

一方、従来型から超高透光性ジルコニアまで、硬さはいずれもエナメル質の3-4倍と大きいので対合歯の磨耗が懸念されます。

これについては、ジルコニアの表面を高度に研磨すれば、対合歯に対しても影響しないことが基礎研究のデータで明らかにされています。

しかし、口腔内で硬さが大きいジルコニア修復の咬合面を鏡面研磨することは容易ではなく、今後、臨床経過を注意深く検討する必要があります。

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