🌟歯髄温存療法(しずいおんぞんりょうほう)とは、むし歯や外傷などで歯の神経(歯髄)がダメージを受けても、可能な限り神経を残すことを目的とした治療の総称です。
歯の寿命を延ばし、将来の再根管治療や抜歯のリスクを減らすため、近年とても重視されている治療法です。
■ 歯髄温存療法の基本的な考え方
歯髄を生かす=歯の免疫力・防御反応を残せる
歯が割れにくくなる(歯の水分保持)
根管治療→再感染による治療の連鎖を防ぐ
最終的な抜歯リスクを大きく減らす
そのため、世界的にも「できるだけ歯髄を保存すべき」という潮流になっています。
■ 歯髄温存療法に含まれる主な治療法
① 間接覆髄(かんせつふくずい)
むし歯を大部分取り除き、神経が露出しないように少しだけむし歯の軟化象牙質を残して、MTAなどを覆う方法。
→ 神経を刺激せず、自然治癒を期待する。
② 直接覆髄(ちょくせつふくずい)
むし歯や外傷で神経が一部露出した時、MTAなどで神経を直接覆う方法。
→ 露出が小さく、無菌的に処置できる場合に有効。
③ 部分断髄(生活断髄)
むし歯がわずかに神経に達しているが、炎症反応が認められない場合や神経の炎症が部分的に強い場合、う蝕直下の歯髄部分や炎症部分の神経を数ミリだけ取り除き、残りの健康な神経を保存する方法。
→ 小児の外傷歯に特に有効だが、成人でも成功率が高い報告あり。
④ 全部断髄(根管治療の一歩手前)
神経を全部取るが、歯根の成長期は根の先を成長させる目的で温存することもある(再生療法含む)。
■ 使用される材料
近年は以下の材料により成功率が飛躍的に向上しています:
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)
BIoceramic(バイオセラミックス系)材料
カルシウムシリケート系セメント
これらは高い封鎖性・抗菌性・組織修復促進作用があり、歯髄保存に非常に有効。
■ 歯髄温存療法の成功条件
むし歯菌をできる限り除去する
ラバーダム防湿などでより無菌的な処置する
MTAなどで確実に封鎖する
CR(コンポジットレジン)などで即時にしっかり封鎖する
患者さんの状態(年齢、歯の成熟度、炎症の程度)
■ 歯髄温存療法が適応になるケース
むし歯が深い
神経が一部露出した
神経が軽度の炎症にとどまっている
外傷で露髄した歯
まだ神経を取るには早い段階の歯
■ 適応にならないケース
強い自発痛(ズキズキ痛みが続く)
大きく腫れている
歯髄壊死している
実質破壊が大きすぎて保存不可
無菌的な処置が困難な環境
■ 歯髄温存療法のメリット
歯が長持ちする
将来の根管治療・再治療を回避できる
歯の強度を保てる
成長期では歯根の発育を助ける
■ デメリット
失敗する場合は根管治療が必要
術後にしみることがある
予後の経過観察が必要


