🌠歯周病患者さんのブラッシングについて
👉歯周病患者さんのブラッシングに関しては
「時間がかかる」のではなく
「時間をかける必要がある」
これが現在の歯周治療・セルフケアの考え方です。
① なぜ「時間をかける」必要があるのか(エビデンス的背景)
☛ 柔らかい毛 × 低加圧
現在、推奨されているブラッシングは、
☞軟毛〜中等度
☞低加圧(20〜25g程度)
☞小刻み振動
📌 この条件下では
👉 1回あたりのプラーク除去量は少ない
イコール
👉 時間をかけて“接触回数”を増やす必要があります。
● 歯周病患者さんのプラーク特性
歯周病患者さんでは、
☛プラークが成熟・粘稠
☛バイオフィルム構造が強固
☛歯頸部・歯間・ポケット入口に集中
👉 短時間では破壊しきれないのは事実です。
② 「時間がかかる=非効率」ではない
❌ 時短を優先した場合の問題
☞除去不足
☞歯肉炎症の残存
☞出血の慢性化
☞セルフケアへの誤学習
📌 特に歯周病患者さんでは、
“早く終わる=良いケア”ではない
③ 歯周病患者さんにおける「必要な時間」の現実
▶ 臨床的目安
最低5分
多くは10 分前後
中等度以上では
👉 10〜15分以上かける患者さんも珍しくない
これは
「不器用だから」ではなく
「低侵襲で確実に行っているから」です。
④ なぜ昔より時間が必要になったのか
過去
☞硬めの毛
☞高加圧
☞ゴシゴシ
短時間でも物理的に削れた
👉現在は、
☞軟毛
☞低加圧
☞微振動
👉 生体を守りながら除去するため、時間が必要
📌 これは後退ではなく進化です。
⑤ 歯周病患者さんへの正しい説明は
患者さんには、次のようにお伝えすることが多いです。
「歯ぐきを傷つけない磨き方は、
実は時間をかけて「触れ続ける」ことが大切なのです。
早く終わる磨き方は、
実は歯周病には向いていません。
⑥ それでも「現実的に続けられる」ための整理
ここで重要なのは
全ての歯に同じ時間をかけないことです。
🌟 時間をかける部位
☞出血部位
☞4mm以上のポケット部位
☞臼歯部・歯間部
🌟時間をかけすぎない部位
☞炎症のない前歯部
☞補綴物のない部位
👉 メリハリをつけて5〜10分
⑦ 「時間をかける」ことの臨床的メリット
☞炎症の消退が早い
☞再SRPの頻度低下
☞患者のセルフケア意識向上
☞メインテナンス間隔の延長
📌 結果的に
👉 医療資源としては“効率的”
⑧ 結論
🍠歯周病患者さんにおいて
「時間がかかる」のは欠点ではない
🍠「時間をかけている」こと自体が治療行為
🍠柔らかい毛・低加圧でのブラッシングは
🌟「短時間で終わる設計ではない」のです。


