⭐歯の根の治療(根管治療)において、なぜ歯科用CT(コーンビームCT:CBCT)が役に立つのか
🌠 歯科用CT(CBCT)が根管治療に役立つ理由
🧠 1|三次元画像で「見えないもの」を見える化できる
通常のレントゲン写真は 二次元(平面)画像 です。
そのため、
☞歯根の重なり
☞骨の厚み
☞複雑な根管走行
☞追加根管(MB2 など)
といった情報が 見落とされることがあります。
これに対して、CBCTは
👉 三次元(3D)の立体画像 を提供し
👉 解剖構造を様々な角度から確認できます。
その結果、診断の精度が大きく向上します。
🧪 2|根管形態の正確な把握ができる
根管治療で重要なのは、「根管の形」「根管の本数」「枝分かれや湾曲の状態」を正しく把握することです。
例えば、上顎第一大臼歯の 第二頬側根管(MB2) は、
二次元レントゲンでは検出できる割合が 約8%
CBCTでは 60%以上 が確認できる
という報告があります。
根管を見落とすと十分に清掃・形成できず、
治療失敗や再治療のリスクが高まります。
🔍 3|診断精度の高さ(エビデンス)
ある研究で、CBCTの診断精度は約88%
二次元レントゲンは 約65% という結果が出ています。
これにより、CBCTは病巣や形態の診断において有意差がありました。
つまり、
従来のレントゲンに比べて診断能力が高い
というエビデンスがあります。
🧠 4|治療計画に実際に影響する
CBCTによる情報は、単に画像がきれいになるだけではありません。
実際に多くのケースで
👉 診断が変わった
👉 治療方針が変わった
という報告があります。
ある研究では、CBCT撮影を行ったケースの 約24〜56% で治療計画が変更されました。
これは、CBCTが単なる補助ではなく、臨床判断に影響を与えるツールであること を示しています。
🧝♂️ 5|治療失敗後(再治療)にも非常に有効
再治療や治療後に症状が続く場合、原因を探ることが必須ですが、
二次元レントゲンでは原因が分かりにくいことがあります。
CBCTでは
根尖周囲の病巣の広がり
根管内の異常(例:破折器具、穿孔)
根管形態の複雑さ
などがより正確に評価できるため、
再治療の成功率向上に貢献します。
🦷 6|特殊ケースでの有用性
具体的には、CBCTは以下の症例で特に効果が高いとされています:
📌 外科的根管治療(歯根端切除術)
手術前に周囲組織や神経・管状構造との関係を正確に把握できます。
📌 根の破折
二次元レントゲンでは見えにくい根の亀裂・破折線を確認できる場合があります(ただし金属によるアーチファクト注意)。
📌 根尖病巣の3D評価
骨吸収や嚢胞などの広がりを三次元で確認できます。
⚖️ 7|利点と適応(エビデンスに基づくポイント)
利点 内容
3Dで解剖学的構造を可視化 複雑な根管系の把握が可能
感染病巣の広がり評価で 部分的・立体的な評価が可能
治療計画の変更につながる 約24〜56%で方針が変わった報告
再治療・外科処置の精度向上
iatrogenic変化・解剖学的関係の把握
⚠️ 8|欠点・注意点
実はエビデンスでも指摘されているように、CBCTは万能ではありません:
🔹 放射線被ばくがやや高い(通常のレントゲンより) — 必要性がある場合に限定。
🔹 コストが高い — 過度な撮影は推奨されない。
🔹 金属アーチファクト による画像の歪み — 特に治療後の根管充填材周囲で起こることがある。
👉 そのため、すべてのケースで必ず行う必要はなく
「診断が不十分な場合」「複雑な症例」「再治療や手術前」など、
必要に応じて選択的に利用することが推奨 されています。
🧾 まとめ(臨床エビデンスに基づくポイント)
● CBCTは 2D画像より診断精度が高い(根管形態・病巣検出など)。
● CBCTは 治療計画に実際に影響することが多い(臨床判断へのインパクト)。
● CBCTは 複雑症例や再治療で特に有用。
● ただし 被ばく・コスト・アーチファクト の制約があるため、適応を慎重に判断する必要がある。
以下では、根管治療(歯の根の治療)において どのタイミングでCBCT撮影を行うべきか の具体的なガイドラインと、
📌 症例別のCBCTの活用例(根尖病変・破折・追加根管など) を
臨床ガイドラインやエビデンスをもとに整理します。
Ⅰ.CBCT撮影を検討すべきタイミング(ガイドラインベース)
1)術前評価が不十分な場合
→ 初診、臨床検査、通常の二次元レントゲン(デンタルX線)で
✅ 根管の構造が確定できない ✅ 病巣の範囲・位置が不明瞭
な場合には 限定FOV(範囲
狭い高解像度)CBCT を検討
します。
例:歯根が複雑、重なりがある、炎症範囲が見えない、MB2など根管が疑われる
→ 2D X線で見えにくい構造の立体把握にCBCTが有効です
2)追加根管・異常解剖の可能性がある時
→ 根管数が疑われるケースや、二次元像で異常が推定される時は
CBCT撮影により 根管本数・走行・湾曲 を評価し、治療計画に反映します。
例:上顎大臼歯のMB2、有意な湾曲、分岐根管など
→ CBCTは三次元で構造を描出しやすい特徴があります。
3)レントゲンと臨床の矛盾がある時
→ 痛みや症状はあるのに透過像が不明確、または透過像がないのに症状が強い時
CBCTで病変の存在・広がりを調べるべきとされています。
4)再治療(リトリートメント)検討時
→ 前回治療後の治癒経過が不十分で、
追加の治療(再治療・外科的治療)が必要か判断する際にもCBCTは有用です。
5)治療中に原因が特定できない時
→ 根管探索中、石灰化や閉塞、穿孔などの可能性があり、
二次元画像だけでは判断困難な際にはCBCTで確認します
6)合併症・偶発症の評価
→ 過長充填、破折器具の位置、穿孔、外傷関連など
処置後の不具合を詳細に評価したい場合にも有用です。
Ⅱ.症例ごとのCBCT活用例
A.根尖病変(根尖性歯周炎、透過像あり・なし)
目的:
病変の3D範囲・位置・骨破壊の程度を把握
治療が通常の根管治療で難しいか判断
活用:
病変が二次元像だと重なってわからない場合
明確な境界が見えない場合
→ CBCTを用いると病変の存在と広がりを立体的に確認できる。
利点:
真の病巣範囲が判る
病変と隣接構造(下顎管、上顎洞)の関係評価
手術前評価で位置関係の安全評価に有利
B.破折(Vertical/Horizontal root fracture)
目的:
二次元では見えにくい骨の割れ、裂け、影のパターンを評価
活用:
痛みや歯周ポケットがあるがX線で破折線が明確でない時
特に垂直的根破折は二次元で見逃されやすく、周囲骨の変化を検出するためにCBCTが有用と報告されています。
注意:
破折線そのものは見えにくいこともあり、二次的な骨変化を観察する役割が大きいです。
C.追加根管・複雑根管
目的:
根管の本数、位置、湾曲、分岐を把握
活用:
上顎大臼歯のMB2や下顎前歯の追加根管など
二次元撮影では見落としがちな構造を確実に把握します。
治療効果:
見落としによる残った根管の感染を防ぎ、治療成功率を高める助けになります。
D.再治療(Retreatment)や治療後の評価
目的:
前治療の結果と現在の状態の不整合を評価
再治療・外科治療・抜歯判断の材料化
活用:
感染の再発か、未処置の根管があるかの評価
ファイルが折れ込んでいる位置、穿孔の位置確認などにも有効です。
E.穿孔・過長充填・根管治療合併症
目的:
位置・程度・周囲組織への影響を立体的に評価
活用:
ラバーダム下で治療を進めている最中に
☑ 感染が残る
☑ 症状が説明できない
☑ 歯根外に材料が突出
→ CBCTで状況把握することで、適切な対処法を検討できます。
Ⅲ.診断と治療フローの例(CBCTの位置づけ)
ステップ1:臨床+二次元レントゲン
まずは通常の検査とデンタルX線を実施。
ステップ2:不明点・疑問点が出た場合
疑わしい追加根管
病変の曖昧さ
破折や穿孔の可能性
→ この時点で CBCT撮影を検討します。
ステップ3:CBCT撮影後の処方設計
三次元像に基づき治療計画を精密化
必要に応じてマイクロスコープなどと組み合わせて実施
Ⅳ.撮影時の注意(ALARA原則)
👉 CBCTは有用ですが、全例で必須ではありません。
☞放射線被ばくやコスト等の観点から、
☞診断の必要性がある場合に限定
☞限定 FOV で最小線量
☞映像の精度(機器の解像度)を考慮
という原則が推奨されています(ALARA原則)。
まとめ(活用のポイント)
状況 CBCTの役割 推奨度
単純な病変 二次元で十分 低
複雑根管(MB2、曲がり) 構造確認 高
不明瞭な病変・症状 病変評価 高
破折・再治療 合併症評価 高
術後合併症 原因探索 中〜高
歯の根の治療(根管治療)において、なぜ歯科用CT(コーンビームCT:CBCT)が役に立つのか
🌠 歯科用CT(CBCT)が根管治療に役立つ理由
🧠 1|三次元画像で「見えないもの」を見える化できる
通常のレントゲン写真は 二次元(平面)画像 です。
そのため、
☞歯根の重なり
☞骨の厚み
☞複雑な根管走行
☞追加根管(MB2 など)
といった情報が 見落とされることがあります。
これに対して、CBCTは
👉 三次元(3D)の立体画像 を提供し
👉 解剖構造を様々な角度から確認できます。
その結果、診断の精度が大きく向上します。
🧪 2|根管形態の正確な把握ができる
根管治療で重要なのは、「根管の形」「根管の本数」「枝分かれや湾曲の状態」を正しく把握することです。
例えば、上顎第一大臼歯の 第二頬側根管(MB2) は、
二次元レントゲンでは検出できる割合が 約8%
BCTでは 60%以上 が確認できる
という報告があります。
根管を見落とすと十分に清掃・形成できず、
治療失敗や再治療のリスクが高まります。
🔍 3|診断精度の高さ(エビデンス)
ある研究で、CBCTの診断精度は約88%
二次元レントゲンは 約65% という結果が出ています。
これにより、CBCTは病巣や形態の診断において有意差がありました。
つまり、
従来のレントゲンに比べて診断能力が高い
というエビデンスがあります。
🧠 4|治療計画に実際に影響する
CBCTによる情報は、単に画像がきれいになるだけではありません。
実際に多くのケースで
👉 診断が変わった
👉 治療方針が変わった
という報告があります。
ある研究では、CBCT撮影を行ったケースの 約24〜56% で治療計画が変更されました。
これは、CBCTが単なる補助ではなく、臨床判断に影響を与えるツールであること を示しています。
🧝♂️ 5|治療失敗後(再治療)にも非常に有効
再治療や治療後に症状が続く場合、原因を探ることが必須ですが、
二次元レントゲンでは原因が分かりにくいことがあります。
CBCTでは
☞根尖周囲の病巣の広がり
☞根管内の異常(例:破折器具、穿孔)
☞根管形態の複雑さ
などがより正確に評価できるため、
再治療の成功率向上に貢献します。
🦷 6|特殊ケースでの有用性
具体的には、CBCTは以下の症例で特に効果が高いとされています:
📌 外科的根管治療(歯根端切除術)
手術前に周囲組織や神経・管状構造との関係を正確に把握できます。
📌 根の破折
二次元レントゲンでは見えにくい根の亀裂・破折線を確認できる場合があります(ただし金属によるアーチファクト注意)。
📌 根尖病巣の3D評価
骨吸収や嚢胞などの広がりを三次元で確認できます。
⚖️ 7|利点と適応(エビデンスに基づくポイント)
利点 内容
3Dで解剖学的構造を可視化 複雑な根管系の把握が可能
感染病巣の広がり評価で 部分的・立体的な評価が可能
治療計画の変更につながる 約24〜56%で方針が変わった報告
再治療・外科処置の精度向上
iatrogenic変化・解剖学的関係の把握
⚠️ 8|欠点・注意点
実はエビデンスでも指摘されているように、CBCTは万能ではありません:
🔹 放射線被ばくがやや高い(通常のレントゲンより) — 必要性がある場合に限定。
🔹 コストが高い — 過度な撮影は推奨されない。
🔹 金属アーチファクト による画像の歪み — 特に治療後の根管充填材周囲で起こることがある。
👉 そのため、すべてのケースで必ず行う必要はなく
「診断が不十分な場合」「複雑な症例」「再治療や手術前」など、
必要に応じて選択的に利用することが推奨されています。
🧾 まとめ(臨床エビデンスに基づくポイント)
● CBCTは 2D画像より診断精度が高い(根管形態・病巣検出など)。
● CBCTは 治療計画に実際に影響することが多い(臨床判断へのインパクト)。
● CBCTは 複雑症例や再治療で特に有用。
● ただし 被ばく・コスト・アーチファクト の制約があるため、適応を慎重に判断する必要がある。
以下では、根管治療(歯の根の治療)において どのタイミングでCBCT撮影を行うべきか の具体的なガイドラインと、
📌 症例別のCBCTの活用例(根尖病変・破折・追加根管など) を
臨床ガイドラインやエビデンスをもとに整理します。
Ⅰ.CBCT撮影を検討すべきタイミング(ガイドラインベース)
1)術前評価が不十分な場合
→ 初診、臨床検査、通常の二次元レントゲン(デンタルX線)で
✅ 根管の構造が確定できない ✅ 病巣の範囲・位置が不明瞭
な場合には 限定FOV(範囲
狭い高解像度)CBCT を検討
します。
例:歯根が複雑、重なりがある、炎症範囲が見えない、MB2など根管が疑われる
→ 2D X線で見えにくい構造の立体把握にCBCTが有効です
2)追加根管・異常解剖の可能性がある時
→ 根管数が疑われるケースや、二次元像で異常が推定される時は
CBCT撮影により 根管本数・走行・湾曲 を評価し、治療計画に反映します。
例:上顎大臼歯のMB2、有意な湾曲、分岐根管など
→ CBCTは三次元で構造を描出しやすい特徴があります。
3)レントゲンと臨床の矛盾がある時
→ 痛みや症状はあるのに透過像が不明確、または透過像がないのに症状が強い時
CBCTで病変の存在・広がりを調べるべきとされています。
4)再治療(リトリートメント)検討時
→ 前回治療後の治癒経過が不十分で、
追加の治療(再治療・外科的治療)が必要か判断する際にもCBCTは有用です。
5)治療中に原因が特定できない時
→ 根管探索中、石灰化や閉塞、穿孔などの可能性があり、
二次元画像だけでは判断困難な際にはCBCTで確認します
6)合併症・偶発症の評価
→ 過長充填、破折器具の位置、穿孔、外傷関連など
処置後の不具合を詳細に評価したい場合にも有用です。
Ⅱ.症例ごとのCBCT活用例
A.根尖病変(根尖性歯周炎、透過像あり・なし)
目的:
病変の3D範囲・位置・骨破壊の程度を把握
治療が通常の根管治療で難しいか判断
活用:
病変が二次元像だと重なってわからない場合
明確な境界が見えない場合
→ CBCTを用いると病変の存在と広がりを立体的に確認できる。
利点:
真の病巣範囲が判る
病変と隣接構造(下顎管、上顎洞)の関係評価
手術前評価で位置関係の安全評価に有利
B.破折(Vertical/Horizontal root fracture)
目的:
二次元では見えにくい骨の割れ、裂け、影のパターンを評価
活用:
痛みや歯周ポケットがあるがX線で破折線が明確でない時
特に垂直的根破折は二次元で見逃されやすく、周囲骨の変化を検出するためにCBCTが有用と報告されています。
注意:
破折線そのものは見えにくいこともあり、二次的な骨変化を観察する役割が大きいです。
C.追加根管・複雑根管
目的:
根管の本数、位置、湾曲、分岐を把握
活用:
上顎大臼歯のMB2や下顎前歯の追加根管など
二次元撮影では見落としがちな構造を確実に把握します。
治療効果:
見落としによる残った根管の感染を防ぎ、治療成功率を高める助けになります。
D.再治療(Retreatment)や治療後の評価
目的:
前治療の結果と現在の状態の不整合を評価
再治療・外科治療・抜歯判断の材料化
活用:
感染の再発か、未処置の根管があるかの評価
ファイルが折れ込んでいる位置、穿孔の位置確認などにも有効です。
E.穿孔・過長充填・根管治療合併症
目的:
位置・程度・周囲組織への影響を立体的に評価
活用:
ラバーダム下で治療を進めている最中に
☑ 感染が残る
☑ 症状が説明できない
☑ 歯根外に材料が突出
→ CBCTで状況把握することで、適切な対処法を検討できます。
Ⅲ.診断と治療フローの例(CBCTの位置づけ)
ステップ1:臨床+二次元レントゲン
まずは通常の検査とデンタルX線を実施。
ステップ2:不明点・疑問点が出た場合
疑わしい追加根管
病変の曖昧さ
破折や穿孔の可能性
→ この時点で CBCT撮影を検討します。
ステップ3:CBCT撮影後の処方設計
三次元像に基づき治療計画を精密化
必要に応じてマイクロスコープなどと組み合わせて実施
Ⅳ.撮影時の注意(ALARA原則)
👉 CBCTは有用ですが、全例で必須ではありません。
放射線被ばくやコスト等の観点から、
診断の必要性がある場合に限定
限定 FOV で最小線量
映像の精度(機器の解像度)を考慮
という原則が推奨されています(ALARA原則)。
まとめ(活用のポイント)
【状況 CBCTの役割 推奨度 】
単純な病変 二次元で十分 低
複雑根管(MB2、曲がり) 構造確認 高
不明瞭な病変・症状 病変評価 高
破折・再治療 合併症評価 高
術後合併症 原因探索 中〜高


