⭐「抗生物質(抗菌薬)に関する誤解」
抗生物質(抗菌薬)についての大切なお話
―「飲めば治る」は誤解です―
歯が強く痛んだり、腫れたりすると、
「抗生物質を飲めば治りますか?」
と聞かれることがよくあります。
しかし、歯科の病名で言うと根が感染した病気(急性化膿性根尖性歯周炎)は、抗生物質だけで治ることはありません。
抗生物質は「ばい菌を減らす薬」であって「原因を取る薬」ではありません
抗生物質は、体の中のばい菌の増殖を抑える薬です。
とても大切なお薬ですが、歯の中に入り込んだばい菌を完全に取り除くことはできません。
なぜなら、
☞歯の根の中は太い血管が通っていない
☞薬が十分に届かない場所がある
からです。
つまり、
👉 原因(歯の根の中のばい菌)が残ったままでは、薬を飲んでも一時的に楽になるだけなのです。
「薬を飲んだら痛みが引いた」=「治った」ではありません
抗生物質を飲むと、
☞腫れが引く
☞痛みが軽くなる
ことがあります。
しかしこれは、
炎症が一時的に抑えられているだけで、
歯の根の中の感染がなくなったわけではありません。
そのため、
薬をやめると再び痛む
数週間〜数か月後に再発する
前よりひどくなる
ということがよく起こります。
抗生物質が必要になるのはどんな時?
歯の根の病気では、まず歯科での処置が最優先です。
抗生物質は、次のような場合に補助的に使われます。
☞顔や歯ぐきが大きく腫れている
☞発熱がある
☞全身がだるい
☞感染が広がる危険がある
このような時は、
☞歯の治療 + 抗生物質
を組み合わせて使います。
👉 「薬の代わりに治療をしない」ことはありません。
〇抗生物質を安易に使うと何が問題ですか?
抗生物質を必要以上に使うと、
☞効きにくいばい菌(耐性菌)が増える
☞将来、本当に必要な時に薬が効かなくなる
☞下痢や腹痛、アレルギーなどの副作用が出る
といった問題が起こります。
そのため現在の医療では、
☞「必要な時に、必要な量を、必要な期間だけ使う」
ことが強く勧められています。
「とりあえず薬だけ欲しい」はおすすめできません
忙しい、怖い、時間がないなどの理由で、
「今日は薬だけください」
と言いたくなることもあると思います。
しかし、
☞原因が残る
再発する
☞結果的に治療が長引く
☞歯を失うリスクが高まる
という結果につながりやすくなります。
👉 一番の近道は、きちんと歯の原因を治すことです。
まとめ:抗生物質について一番大切なこと
抗生物質は「補助役」であり「主役」ではない
飲むだけでは歯の根の病気は治らない
原因を取り除く治療が必要
正しく使えば、とても大切な薬
ということを、ぜひ覚えておいてください。
最後に
歯の痛みや腫れは、体からのSOSです。
薬でごまかすのではなく、
「原因をきちんと治す」ことで、
歯も体も守ることができます。
不安なことや疑問があれば、
ご遠慮なく歯科医院にお問い合わせください。


