GBT(Guided Biofilm Therapy:ガイデッド・バイオフィルム・セラピー)とは
「見えない原因(バイオフィルム)を可視化し、必要最小限・低侵襲で除去する」
という考え方に基づいた、科学的根拠重視の予防・歯周治療プロトコルです。
従来の「歯石を取る治療」から大きく進化した概念といえます。
1️⃣ GBTとは何か?(基本概念)
GBTは、
バイオフィルムが歯周病・う蝕・インプラント周囲炎の主因
歯石は“結果”であり、“原因”はバイオフィルム
という現代歯周病学の考えに基づき、
👉 バイオフィルムを染めて「見える化」し、
👉 エアフロー等で優しく確実に除去し、
👉 必要最小限の器具使用に留める
という治療体系です。
2️⃣ なぜ「Guided(ガイドされる)」のか?
「Guided」とは、
☞染色によって除去すべき部位が明確
☞術者の勘や力加減に依存しない
☞取り過ぎ・削り過ぎを防ぐ
という意味です。
「見えたところだけを、見える分だけ取る」のがGBTです。
3️⃣ GBTの8ステップ(標準プロトコル)
① 診査・リスク評価
歯周ポケット測定
出血(BOP)
う蝕・インプラントリスク評価
② 患者教育・動機づけ
染色剤を使い患者自身が汚れを確認
セルフケアの改善点を共有
③ バイオフィルムの染色
歯面・歯肉縁下のバイオフィルムを可視化
④ エアフローによる除去
主にエリスリトール/グリシンパウダー
歯肉縁上〜浅い縁下まで低侵襲清掃
⑤ ペリオフロー(必要に応じて)
ポケット4〜9mm程度まで対応
専用ノズルで縁下バイオフィルム除去
⑥ ピエゾン(超音波)による歯石除去
残存歯石のみを最小限に除去
⑦ 再評価
染色再確認
BOPの変化を確認
⑧ メインテナンス計画
リスクに応じた来院間隔設定
4️⃣ 従来治療との決定的な違い
〇治療対象
従来型 歯石
GBT バイオフィルム
〇方法
従来型 一律スケーリング
GBT 染色+選択的除去
〇侵襲
従来型 高くなりやすい
GBT 最小侵襲
〇患者理解
従来型 低い
GBT 高い
〇インプラント
従来型 制限ありい
GBT 安全に対応
5️⃣ GBTがもたらす臨床的メリット
✔ 生物学的メリット
歯周病菌の再定着を抑制
炎症コントロールの最適化
インプラント表面の保護
✔ 患者側メリット
痛み・出血が少ない
麻酔不要なケースが多い
モチベーションが向上
✔ 医療者側メリット
治療の標準化
術者間のばらつき減少
説明責任を果たしやすい
6️⃣ GBTとエアフロー・ペリオフローの関係
〇エアフロー
→ 歯肉縁上〜浅い縁下のバイオフィルム除去
〇ペリオフロー
→ 中〜深部ポケットのバイオフィルム除去
〇超音波スケーラー
→ 歯石だけを必要最小限に除去
👉 「全部削る」のではなく「原因だけ除く」
7️⃣ GBTが特に有効なケース
☞歯周病のメインテナンス期
☞インプラント周囲炎予防
☞矯正中患者
☞高齢者・有病者
☞痛みに弱い患者
8️⃣ 注意点・限界
☞歯石除去は完全には代替できない
☞重度歯周病では外科治療併用が必要
☞適切な診査・プロトコル遵守が必須
まとめ(要点)
GBTは「原因(バイオフィルム)を見える化し、最小侵襲でコントロールする」
エビデンスベースの次世代歯周・予防治療です。
歯科医療は amplification(削る)から
precision(狙って除く)へ移行しています。


