渋谷区恵比寿の歯科医院|SHIRON DENTAL OFFICE(シロンデンタルオフィス)

メインテナンスの重要性

メインテナンスの重要性(特に人工物がお口の中にある場合)について詳しく解説

ホームケアとプロフェッショナルケアの両輪が必要不可欠なのです

被せ物が適切な経過をたどり順調にくっつけられれば、患者さんの満足度は向上し、新しく入った被せ物は患者さん自らの体の一部として取り込まれる重要な道具となります。

しかし、決してこれが治療のゴールではありません。

お口全体として予防歯科としての取り組みとともに、ここから始まる被せ物とそれを支える周囲の組織の長期的かつ良好な環境維持のための術後管理が行われなければ治療の成功はありません。

術後管理としての被せ物の置かれた特徴は、第1に被せ物は人工的な材料であり、冠と冠をつなげている場合、その連結部分などがお口の中の清掃をするのに適切な形が与えられていることです。

そのため、天然歯質だけのお口の中の環境とは異なることを理解することが大切です。

第2に慎重な治療前の検査と治療計画に従って行われた被せ物の治療であっても、お口の中の組織の状態やかみ合わせの状態が年々変化する中で、被せ物やそれを取り巻く組織の状態を長期にわたり予測することは困難です。

その後トラブルが起こる可能性もあります。

定期的に検査を行うことで、患者さん自身トラブルと感じなくとも治療すべき状況が生じていることもあり、大きな問題が生じる前に対応可能となります。

このことは、患者さんにとっても歯科医師にとっても非常に大きなメリットとなります。

被せ物を長期にわたり生体と調和した良好な働きや見た目を維持することができてはじめて治療が成功したと言えるのです。

そのために必要なことは、まず被せ物をくっつけた時から適切なお口の中の清掃指導に基づいた患者さん自身のホームケアが重要です。

適切でない自己流ではダメなのです。

そして同時に適切に設定されたリコール時による術者による定期検査を含むプロフェッショナルケアによる被せ物とその周囲組織の術後管理が必要不可欠となります。

どちらかではだめで、この2つの両輪がかみ合って走り続けて初めて被せ物の長期的な成功が得られるのです。

患者さん自身のホームケア + プロフェッショナルケア

被せ物におけるプラークコントロール

くっつけた後の被せ物は歯科医や歯科衛生士の手を離れ、患者さん自身の生活の中に置かれるようになります。
その際に重要となる術後管理がホームケアです。
被せ物を被せた後に必要なことは、新たな口腔環境に適したプラークコントロールなのです。
ただし、被せ物のプラークコントロールといっても天然の歯に対する方法と大きく違うわけではありません。

1.被せ物に用いた各種歯科材料への影響

まず重要なのは、ケアする際に被せ物の表面を傷つけないことです。 
金属にせよセラミックにせよレジンにせよとにかく傷つけないことが大切です!

①金属の場合、表面が傷つくと腐食しやすくなりプラークの付着により腐食がさらに進行して、負のサイクルとなります。プロフェッショナルケアにおいてもスケーラー等の使用により材料の表面が傷つくリスクがあります。

②セラミックの場合、非常に硬い材料でブラッシング等では傷つきにくいですが、ホームケアにおいて研磨剤の入った歯磨剤などを不適切に使用した場合、光沢が消失することがあり、プロフェッショナルケアにおいても歯石や汚れを取る器具であるスケーラー等の使用により材料の表面が傷つくリスクがあります。

③ハイブリッド型コンポジットレジンの場合もセラミック同様に、研磨剤の入った歯磨剤の影響により光沢が消失する場合があります。また、不適切な研磨により、フィラーが露出して材料表面の凹凸が増大して歯石沈着が増えるリスクがあります。

2.注意を要する部位と形態

被せ物のプラークコントロールで特に注意する部位と形態としては、冠の隣同士の歯と隣接する歯ぐきの部分や連結した冠の連結部、無くなった歯の両脇で支えるブリッジの人工の歯ダミーの裏側の部分です。
被せ物の縁端部分でそれが歯ぐきの中にもぐっている場合は特に注意が必要です。
このエリアは虫歯や歯周病の起こりやすい部位として有名です。

ホームケア

新しくくっつけた被せ物を含め、どの部位にどの清掃用具を選ぶと効果的か口腔清掃指導(TBI)を通して患者さんに理解して実践していただく必要があります。

1 各種清掃用具と適用

歯間部や歯頚部、ポンティックの基底面などは歯ブラシでは毛先が届きにくく、ホームケア時に磨き残しが生じやすい場所です。

1) 毛束間隔の広い歯ブラシや毛先が一部出っ張っている歯ブラシ

1)	毛束間隔の広い歯ブラシや毛先が一部出っ張っている歯ブラシ

歯間部の清掃には、毛束と毛束の間隔が少し空いている方が効果的です。
幅の広いヘッドの歯ブラシは効率的に磨けますが、磨きにくい大臼歯部歯頚部にはヘッドの薄く小さい歯ブラシが適しています。

2) シングルタフトブラシ

シングルタフトブラシ

歯間部分がつながっているブリッジや連結冠は上方の咬合面からフロスを通すことは不可能ですが、シングルタフトブラシは歯間ブラシが使いづらい後方の歯間部や根分岐部にも使用できます。
清掃しにくい後方歯舌面・遠心面の清掃に効果的です。

3)歯間ブラシ

歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯間部隣接面や被せ物連結部およびポンティック基底面の清掃に使用します。歯間部に歯間ブラシが入る隙間があることが前提となります。隙間に対して歯間ブラシが細すぎたり太すぎたりしても問題があります。細すぎると効率的な歯間清掃ができず、逆に太すぎると歯肉に力がかかりすぎて傷つけることになる。また、歯肉や被せ物に歯間ブラシの芯のワイヤーが当たって傷つかないようにすることが大切です。柄の形は「ストレートタイプ」と「アングル付きタイプ」があり、ストレートタイプは前歯唇側から使用します。アングル付きタイプは、前歯舌側、臼歯部頬舌側から使うのに適しています。

4) デンタルフロス

デンタルフロス

デンタルフロスは、歯と歯の間の部分やブリッジの連結部分およびポンティック基底面の掃除に使用します。
歯ブラシや歯間ブラシが使用できない部位に用いることになります。
糸を張って使用するので、清掃できるのは直線部分であり曲線の形態に対しては少しづつ移動させて清掃する必要があります。また、凹んでいる部分は清掃できません。
ワックスが塗布されているフロスは、付いていないフロスと比べて切れにくいですがプラークの除去効率は低くなります。
冠と冠のわずかな隙間にフロスを通しやすいように設計された製品は、冠と冠、冠とポンティックの間の清掃を可能にします。

写真左は通常のフロスで写真右にあるフロスは、少し硬くなっている青い部分を用いて冠と冠の間を通してから移動させて掃除を行います。

5) 電動歯ブラシ

機械的に清掃する回転式と超音波振動式などがあります。
超音波式は冠表面を傷つけずにバイオフィルムを除去できると言われています。
電動歯ブラシのメリットとして高齢者や手の不自由な方など自力で清掃が困難な場合に有効なことがあります。

プロフェッショナルケア

定期的にリコールして実施するのがプロフェッショナルケアになります。

1. リコール

時間の経過とともに、体は変化していき、冠の状態の変化や材質の劣化が起こってきます。
様々な変化が起こっても患者さん自身は気が付いていない場合も多いです。
そこで、我々歯科医師や歯科衛生士が冠を含めたお口全体の定期検査を行うことで、トラブルを未然に防ぐこともできます。また、検査結果を患者さんと共有して今後のホームケアに反映させることが可能になります。
リコールの間隔は、3か月から1年程度の間隔で行われることが多いですが、場合により1か月ごとだったり、患者さんの清掃状態や被せた装置の種類によって変わります。

2. 定期検査の検査項目

1) 咬頭嵌合位、早期接触、咬頭干渉

被せ物がくっつけられた際、早期接触があると安定していた位置である咬頭嵌合位に影響を与え顎の位置に変化を及ぼす危険性があるので確認します。

2) 辺縁部の2次う蝕

辺縁部直下の2次う蝕は、早く対応しないと歯を再度治せなくなり保存することが難しくなる可能性があるので確認します。

3) 歯肉退縮

前歯の歯肉が退縮すると見た目が悪くなるので確認します。
神経のある歯では知覚過敏の原因となるので確認します。

4) 着色・変色

レジン系材料を使用している場合、変色・着色を生じやすいので確認します。

5) 表面の傷・凹凸、破折

不適切なホームケアにより生じた被せ物表面の傷や凹凸を確認します。

6) 脱離・脱落

接着剤が一部崩壊や溶出していても患者さんは気付かないことが多いので確認します。

7) 支えている歯の破折

特に神経のない歯を治している場合、歯根の破折の有無を確認します。

8) 加齢に伴う歯列などの変化

歯列の変化が食片圧入や外傷性咬合や破折の原因となっていないか確認します。

う蝕・歯周病予防処置と対応

Professional mechanical tooth cleaning (PMTC)は、専用の器具・器材を用いて行います。
被せ物やその他の歯を適切に清掃することと被せ物や歯に傷がつかないように注意することが重要となります。

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