⭐口臭の原因と歯科でできる治療・対策について
「最近、口臭が気になる…」
「人と話すときに気を使ってしまう」
そんな悩みを抱える方は少なくありません。実は口臭にははっきりとした原因があり、歯科で改善できるケースがとても多いのです。
口臭の正体は、ただの「息の臭い」ではなく、主に細菌が作り出すガス(悪臭成分)です。
口臭の原因物質(主に3つのガス)
1. 硫化水素(H₂S)
- 腐った卵のような臭い
- 舌の汚れや歯周ポケットに潜む細菌が、タンパク質を分解すると発生
- 口臭の中でもっともよく検出されるガス
2. メチルメルカプタン(CH₃SH)
- 腐った玉ねぎやキャベツのような強烈な臭い
- 主に 歯周病菌が作り出すガス
- 歯周病がある方の口臭の大きな原因物質
3. ジメチルサルファイド((CH₃)₂S)
- 生ごみや腐敗臭のようなにおい
- 血流を介して体内から口に出る場合もあるため、肝機能障害や消化器系疾患と関連することもあります
その他の原因物質
- 短鎖脂肪酸(酪酸など) → 汗や足の臭いに近いにおい
- ポリアミン類(プトレシン、カダベリン) → 死体臭・腐敗臭のようなにおい
- アンモニア → 尿のような臭い。腎機能障害などの全身疾患に関連することも
口臭の主な原因
1. お口の中の汚れ(細菌)
- 歯と歯の間や舌の表面にはたくさんの細菌が住んでいます。
- これらの細菌が タンパク質を分解すると「硫黄ガス(腐った卵のような臭い)」 を発生します。
- 実は、口臭の約8割はこの細菌由来だと言われています。
2. 歯周病
- 歯ぐきの腫れや出血、膿が出ていると強い臭いが発生します。
- 特に進行した歯周病は 独特のきつい臭い を伴うため、口臭の大きな原因になります。
3. むし歯・詰め物の不具合
- 大きなむし歯や、古い詰め物・かぶせ物の隙間に細菌が溜まると、口臭を悪化させます。
4. 舌の汚れ(舌苔)
- 舌の表面に白や黄ばんだ汚れがつくことがあります。これを舌苔(ぜったい)と呼び、強い臭いの原因になります。
5. お口の乾燥
- 唾液には「お口を洗い流す作用」があります。
- ストレスや加齢、薬の副作用で唾液が減ると細菌が増えやすくなり、口臭が強まります。
6. 全身の病気
- 胃腸や糖尿病、耳鼻科疾患なども口臭の原因になる場合があります。
- ただし割合としては少なく、ほとんどはお口の中の原因です。
歯科でできる口臭治療・対策
① 歯周病治療
- 歯周ポケットのクリーニング、歯石除去、歯ぐきの炎症改善を行います。
- 歯周病が治ると、口臭は驚くほど改善するケースが多いです。
② むし歯・不良補綴物の治療
- むし歯や合わない詰め物を治すことで、細菌の温床をなくします。
③ プロによるクリーニング(PMTC)
- 歯科衛生士が専用の器具で歯の表面や歯と歯の間を徹底的に清掃。
- ご自身の歯みがきでは落とせない汚れを除去できます。
④ 舌のケア指導
- 舌ブラシや専用ジェルを使った正しい舌清掃をアドバイス。
- ゴシゴシ磨きすぎると逆効果なので、やさしいケアが大切です。
⑤ 唾液を増やすアドバイス
- 水分補給、唾液腺マッサージ、よく噛む習慣を指導。
- 必要に応じて、保湿ジェルやマウススプレーを処方します。
⑥ 生活習慣の改善サポート
- 食生活(にんにく・アルコールなど)
- 喫煙習慣
- 定期検診による口腔環境の維持
まとめ
- 主な口臭の原因は VSC(揮発性硫黄化合物)=硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイドで歯周病・舌苔・むし歯・乾燥などにより発生する
- その多くは お口の中の細菌(歯周病菌・舌苔) によって作られる
- 一部は全身疾患とも関わるため、強い口臭が続くときは歯科+内科のチェックが必要
- 口臭の原因の 8割はお口の中の問題
- 歯科では、歯周病治療・クリーニング・舌ケア・唾液量改善で対応可能
⭐意外と知られていませんが、ストレスと口臭には、実は深い関係があります。
👉心理的なストレスは、口臭の原因になるさまざまな生理的・行動的変化を引き起こします。
以下に詳しく説明いたします。
✅ ストレスが口臭を悪化させる主なメカニズム
1. 唾液の分泌量が減少する
ストレスを感じると、交感神経が優位になり唾液の分泌が抑制されます。
唾液には口内を洗浄し、細菌の繁殖を防ぐ作用があるため、唾液が減ると口の中が乾き、雑菌が増えて口臭が強くなります。
特に「起床時」や「緊張時(会議・プレゼン前など)」に強く感じる人が多いです。
2. 口呼吸が増える
ストレスや緊張時には、無意識に口で呼吸しがちです。
口呼吸は口腔内の乾燥を促進し、雑菌の繁殖 → 揮発性硫黄化合物(VSC)発生 → 口臭悪化につながります。
3. 胃腸の働きが乱れる
ストレスにより消化機能が低下すると、胃内にガスがたまり、口臭の原因になることがあります(※「内因性口臭」)。
口呼吸は口腔内の乾燥を促進し、雑菌の繁殖 → 揮発性硫黄化合物(VSC)発生 → 口臭悪化につながります。
特に逆流性食道炎などがある場合は、胃の内容物や酸が逆流して「胃から臭う」と感じることも。
4. 舌苔(ぜったい)の増加
舌の表面に白くたまる「舌苔」も、ストレスや唾液不足で増えやすくなります。
舌苔は細菌と食べかすの混合物で、強い臭いの原因になります。
5.生活習慣の乱れ
ストレスからくる睡眠不足、喫煙、暴飲暴食なども、口臭の一因。
甘いものの食べすぎ、アルコール、コーヒー、ニンニクなども重なって、複合的に臭いが悪化します。
✅ ストレス性口臭の特徴
特徴 内容
自分では気づきにくいことも
・唾液の減少による“生理的な臭い”は本人より他人が感じやすい
・一時的なことが多い
・ストレス状況が改善されると、口臭も軽減することが多い
・口臭恐怖症との関連もある 実際には臭っていないのに「自分は臭っている」と思い込むケースもある
✅ 対策方法
✔ ストレス対策
深呼吸、瞑想、軽い運動などで自律神経を整える
睡眠をしっかりとる
カフェイン・アルコールの摂りすぎに注意
✔ 口腔ケア
水分をこまめに摂取して唾液を促す
キシリトールガムや唾液促進飴を使う
舌ブラシで舌苔を清掃
マウスウォッシュの活用(単独での効果はあくまでも一時的のためこれだけでの解決は困難)
✔ 医療機関の受診
・胃腸の調子が悪い場合 → 内科・消化器科
・口臭が気になる場合 → 歯科・口腔外科や口臭外来
🔍 まとめ
ストレスが引き起こす変化 口臭への影響
唾液の減少 雑菌増殖 → 揮発性ガス発生
胃腸不調 胃内容物の逆流 → 内因性口臭
行動の変化(口呼吸・喫煙など)
乾燥・悪臭の悪循環
ストレスマネジメントと日常のケアの両立がとても重要です。