⭐「ミールラウンド(Meal Round)」とは、医療・介護・福祉の現場で行われる「食事観察・評価のための巡回」を指します。
主に病院、介護施設、特別養護老人ホーム、デイサービスなどで実施され、食事中の利用者(患者)の様子を多職種で確認・評価し、摂食・嚥下機能や栄養状態を把握するための活動です。
🌿【ミールラウンドの定義】
ミールラウンドとは?
医師、歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、介護士、言語聴覚士などが、利用者の食事場面を実際に観察し、摂食・嚥下や食形態、姿勢、食具の使用方法、介助方法などを評価・検討する活動
🍽️【目的】
- 嚥下障害や誤嚥の早期発見
→ 食事中のむせ、飲み込みの遅れ、食後の湿性嗄声(声のかすれ)などを観察し、リスクを把握します。 - 適切な食形態の選択
→ きざみ食、ミキサー食、ソフト食など、嚥下能力に合った食事形態を検討します。 - 姿勢や介助方法の最適化
→ 食事時の姿勢や、介助の仕方が誤嚥防止や食事効率に大きく影響します。 - 口腔内の状態確認
→ 義歯の適合、口腔乾燥、食物残渣など口腔衛生状態もチェックします。 - 多職種間の情報共有
→ 医師・看護師・歯科衛生士・栄養士・介護士などが共通認識を持ち、ケアプランを統一します。
🩺【ミールラウンドの流れ】
- 対象者の選定(嚥下リスクがある、食欲低下、誤嚥性肺炎の既往など)
- 観察準備(カルテ確認、食形態・服薬内容の確認)
- 食事中の観察
- 姿勢(頭部や体幹の角度)
- 口に運ぶまでの所作と口に入れる量
- むせ・咳・食べ残し
- 声の変化(湿性嗄声など) - 評価と記録
- 嚥下機能の評価
栄養摂取量や満足度
改善すべき点の共有
- チームカンファレンス
→ 食形態や食事環境、口腔ケア、リハビリ介入を検討・修正
🧩【ミールラウンドの必要性】
① 誤嚥性肺炎の予防
食事中のわずかなサインを早期に発見し、誤嚥性肺炎を未然に防ぎます。
② 栄養状態の維持・改善
嚥下機能低下に合わせて食形態を調整し、「食べやすく、十分な栄養を摂れる」よう支援します。
③ 生活の質(QOL)の向上
食事は楽しみの一つ。安心して美味しく食べられる環境づくりが心身の健康につながります。
④ チーム医療の推進
多職種が情報を共有することで、包括的で安全なケアを実現します。
👩⚕️【歯科・口腔ケア職種の関わり】
歯科医師・歯科衛生士は特に以下の点で重要な役割を果たします。
・義歯や口腔機能の評価
・咀嚼・嚥下運動の観察
・口腔ケアの改善指導
・口腔機能向上訓練
(咀嚼訓練・舌圧など舌機能向上訓練・表情筋や咀嚼筋など筋機能向上訓練)
📝【まとめ】
(定義)
食事中の様子を多職種で観察・評価する活動
(主な目的)
嚥下障害の発見、誤嚥予防、栄養管理
(関与職種)
医師、看護師、歯科医師、歯科衛生士、ST、管理栄養士、介護士など
(効果)
誤嚥性肺炎防止、栄養状態改善、QOLの向上


