顎関節症(TMD:Temporomandibular Disorders)の治療に関するQ&A集
基本理解
- 顎関節症とは何ですか?
- 顎の関節・筋肉・周囲組織の不調により、痛み・雑音・口が開きにくいなどの症状が出る病気です。
- 顎関節症は自然に治ることもありますか?
- 約7〜8割は生活習慣改善で自然に軽快するとされています。
- 原因は何ですか?
- 歯ぎしり・噛み締め、ストレス、姿勢の悪化、外傷、咬み合わせの偏りなど多因子です。
- 顎関節症は歯医者で治せますか?
- 多くは歯科で対応可能です。
- 男女差はありますか?
- 女性に多く、ホルモンバランスや筋・靭帯の影響が関係します。
- 若い人でもなりますか?
- 10代から起こり、年齢は関係ありません。
- 痛みが出る場所はどこですか?
- こめかみ、耳の前、頬、首、肩なども関連痛として出ます。
- 口を開こうとするとカクッと音がするのは病気ですか?
- 関節円板がズレているサインで、顎関節症の一種です。
- 症状が片側だけに出ることはありますか?
- はい。片側の悪習癖や片側噛みが影響することがあります。
- 顎関節症は遺伝しますか?
- 遺伝要因よりも生活習慣の影響が大きいです。
- 顎が開きにくいのはなぜ?
- 筋肉の緊張、円板のロック、関節の炎症などが原因です。
- 口が開く正常値はどのくらい?
- およそ40〜50mm(指3本分)です。
- 顎関節症が悪化するとどうなりますか?
- 開口障害、関節音の悪化、噛む痛み、頭痛・肩こりにつながります。
- 顎関節症で耳鳴りや耳の違和感が出る?
- 顎関節と耳は近いため、症状が関連することがあります。
- 顎関節症で目の疲れや頭痛は起こりますか?
- 筋緊張が広がると起こります。
治療の考え方
- 顎関節症の治療目標は何ですか?
- 痛みの緩和・機能回復・生活の質向上です。
- 顎関節症の治療はどんな方法がありますか?
- 薬物療法、生活習慣改善、理学療法、マウスピースなどです。
- 治療期間はどれくらいですか?
- 軽度で数週間、慢性化した例では数ヶ月かかることがあります。
- 噛み合わせの治療は必要ですか?
- エビデンス的に嚙み合わせは無関係といわれています。特別なケースのみ慎重に判断します。
- 顎関節症は完全には治らないですか?
- 多くは自然に改善します。慢性化しても症状を抑えて管理できます。
- 手術が必要なこともありますか?
- 極めて稀で、多くは保存療法で治ります。
- 顎関節症に特効薬はありますか?
- 症状を和らげる薬はありますが、根本改善は生活習慣の改善が中心です。
- 治療の優先順位は?
- ①痛みの緩和 → ②筋緊張の改善 → ③関節の動き回復 → ④再発予防です。
- 顎関節症は通院が必要?
- 基本的には必要ですが、セルフケアが最重要です。
- 顎関節症専門医はいますか?
- います。日本顎関節学会に専門医・指導医・認定医制度があります。大学病院に口腔外科や顎関節症科があります。
- 病院は何科に行けばいい?
- 基本は歯科、特に口腔外科です。
- 顎関節症は精神的ストレスと関係ありますか?
- 密接に関係します。歯ぎしり・食いしばりの誘発要因となります。
- 治療中に痛みが一時的に強くなることはありますか?
- 刺激により数日間悪化することがあります。
- 顎関節症の再発率は?
- 生活習慣に左右されますが、適切なケアで大幅に減らせます。
- 長年悩んでいる顎関節症でも治りますか?
- 治療次第で多くは改善します。
マウスピース治療
- マウスピースはどんな効果がありますか?
- 筋の緊張緩和、食いしばりの制御、関節への負担軽減に作用します。
- マウスピースは毎日つける必要がありますか?
- 基本的に就寝中の使用です。
- 保険適用ですか?
- はい、顎関節症用のスプリントは保険適用されます。
- 装着して痛い時はどうする?
- いったん外して調整が必要な場合もあるので歯科医院に相談してください。
- マウスピースはいつまで使えばいい?
- 症状改善後も予防のため継続することがあります。
- 昼間も使ったほうがよいですか?
- 基本的に日中はセルフコントロールが重要です。24時間使用すると顎の位置が変化してしまうリスクがあります。食いしばりが強い人は昼用の薄型スプリントを一時的に入れる場合もあります。
- 市販のマウスピースでもいい?
- 精度が合わず逆効果の可能性があります。
- スプリントは歯並びを変える?
- 通常は変えません。変わらないように設定します。
- マウスピースだけで治る?
- 原因は多因子のため多くは併用療法が必要です。
- どのくらいで効果が出ますか?
- 早ければ数日〜数週間で改善します。
生活習慣・セルフケア
- 顎関節症に良くない習慣は?
- 頬杖、うつ伏せ寝、片側噛み、長時間スマホ姿勢、硬いものの多食など。
- 硬い食べ物は避けるべき?
- 顎への負担が大きいため、症状がある時は控えます。
- ガムを噛むのは良くない?
- 長時間の咀嚼は顎に負担をかけます。
- 睡眠中の食いしばりを軽減できますか?
- ストレス管理、寝姿勢の改善、就寝前のリラックスで軽減できます。
- 頬杖はなぜダメ?
- 顎が片側に押され、関節の偏位や筋バランスが崩れます。
- 正しい姿勢とは?
- 頭が前に出ず、肩と耳の位置が揃う姿勢です。
- スマホの使いすぎは関係ありますか?
- あります。姿勢の悪さが影響します。猫背が顎の筋肉に負担をかけます。
- ストレスが強いと悪化する?
- 食いしばりの増加や筋緊張の増悪につながります。
- 温めたほうが良い?冷やしたほうが良い?
- 筋肉痛は温める、炎症が疑われる急性期は冷やすのが基本です。
- 運動やストレッチは有効?
- 顎周囲の筋のストレッチは治療の基本です。
理学療法・リハビリ
- どんなストレッチが効果的ですか?
- 開口訓練、顎の筋肉のマッサージ、首肩のストレッチです。
- 痛いのに動かしていい?
- 激痛は禁忌、軽い痛みなら可動域を広げる訓練が有効です。
- 鍼灸や整体は効果がありますか?
- 一部の患者さんに効果がある場合があります(科学的根拠は限定的)。
- 理学療法は歯科でも受けられる?
- 大学の口腔外科や顎関節症治療に対応している歯科で行うことがあります。
- 開口訓練はどのくらい行う?
- 1日数回、無理のない範囲で行います。
薬物療法
- 痛み止めは効きますか?
- 炎症がある場合に有効です。
- 湿布や塗り薬は使える?
- 筋肉痛が強い場合に補助として使えます。
- 筋弛緩薬は必要?
- 筋緊張が強い症例で使用されます。
- 顎関節症に抗生剤は必要?
- 通常は不要です。感染症ではありません。
- 漢方薬は効果がありますか?
- 当帰芍薬散、桂枝加朮附湯などが用いられるケースがあります。
基本理解
- 顎関節症は珍しい病気ですか?
- 10人に1人が経験する、非常に一般的な症状です。
- どんな症状が出ますか?
- 顎の痛み・口が開かない・カクカク音・頭痛・肩こりなどです。
- 顎関節症は自然に治ることがありますか?
- 多くは軽度で自然に消退します。
- 悪化するとどうなりますか?
- 強い痛み、口が開かない、食事が困難など生活へ影響が出ます。
- 顎関節症は歯の病気ですか?
- 顎の関節・筋肉の問題です。
- 顎関節症はどの診療科が担当しますか?
- 顎関節咬合科・口腔外科が専門です。
- 片側だけ痛くても顎関節症ですか?
- はい。片側のみ発症するケースも多いです。
- 子どもも顎関節症になりますか?
- なります。成長期で強い咬みしめが原因のことがあります。
- 高齢者でも起こりますか?
- 起こりますが、若い女性の発症が最も多いです。
- 顎関節症は遺伝しますか?
- 遺伝よりは生活習慣やストレスが要因です。
- ストレスで顎関節症になることがありますか?
- はい。歯ぎしりや食いしばりが増えて悪化します。
- 顎を鳴らす癖は悪いですか?
- はい。関節円板を痛め、症状を悪化させます。
- 顎関節症は寝不足でも悪化しますか?
- します。筋肉疲労やストレス増加が影響します。
- 顎関節症と肩こりは関係ありますか?
- 大いにあります。咀嚼筋と首肩の筋肉が連動するためです。
原因・リスク
- 歯ぎしりは顎関節症の原因ですか?
- 最も多い原因の一つです。
- 食いしばりが強いと顎関節症になりますか?
- はい。顎関節に大きな負担がかかります。
- 噛み合わせのズレは影響しますか?
- 長期的には影響しますが、単独で原因になることは稀です。
- 大きく口を開けると痛いのは顎関節症ですか?
- よくある症状のひとつです。
- 硬いものを食べるとなりやすいですか?
- 筋肉疲労が蓄積し症状が出やすくなります。
- 頬杖は顎関節に悪いですか?
- はい。左右の負荷が偏り顎関節症の原因になります。
- うつ伏せ寝は悪影響ですか?
- 片側に負担がかかりやすく、おすすめできません
- 歯並びが悪いと顎関節症になりますか?
- 必ずしもではありませんが、一因にはなります。
- スマホの見すぎは関係しますか?
- 姿勢悪化 → 首肩の緊張 → 食いしばり増加により関係します。
- ガムの噛みすぎは悪いですか?
- 長時間の噛み続けは顎の筋肉を疲労させます。
- 片側だけで噛む癖は悪いですか?
- はい。片側の筋肉が疲労して症状が出ます。
- 運動不足も関係しますか?
- 姿勢の悪化やストレス増加により影響します。
- 歯を抜いた後に起こることがありますか?
- 噛み合わせの変化で顎に負担がかかることがあります。
- インプラントや被せ物で起こりますか?
- 噛み合わせが変わると一時的に症状が出ることがあります。
- 更年期と顎関節症の関係はありますか?
- ホルモン低下による筋肉のこわばりが関係することがあります。
診断・検査
- 顎関節症の診断はどのように行いますか?
- 問診、触診、開口量測定、関節音の確認などです。
- レントゲンでわかりますか?
- 骨の状態はわかりますが、円板の位置までは見えません。
- MRIは必要ですか?
- 関節円板の位置を詳しく見るときに有効です。
- CT撮影は必要ですか?
- 骨の変形・破壊を確認したい場合に使います。
- 顎の可動域はどう測りますか?
- 指3本分(約40mm)開くかが目安です。
- 顎が鳴るだけで受診すべきですか?
- 痛みがなくても、継続する場合は一度診察をおすすめします。
- 頭痛や耳の痛みも検査しますか?
- 必要に応じて、筋肉の緊張状態を確認します。
- 噛み合わせの検査は必要ですか?
- 必要です。顎関節への負担を推定できます。
- 顎がロックして口が開かないのは何ですか?
- 関節円板の前方転位が疑われます。
- 自分で診断できますか?
- できません。似た症状の病気が多数あるためです。
- 顎関節症では血液検査は必要ですか?
- 通常は不要です。
- 自律神経の問題と関係あると言われました。検査しますか?
- 特別な検査はしませんが、問診で判断します。
- 顎の筋肉はどこを触診しますか?
- 咬筋・側頭筋など主要な咀嚼筋を確認します。
- 顎関節症と虫歯の痛みはどう見分けますか?
- 治療歴・痛みの性状・叩いた時の反応などから判断します。
- 顎関節症と神経痛はどう違いますか?
- 神経痛は電気が走る痛みで、持続時間が短い点が異なります。
治療法
- 顎関節症の治療は何をしますか?
- 生活指導、筋肉療法、マウスピース、薬物療法が一般的です。
- 手術は必要ですか?
- ほとんどの人は不要です。
- マウスピース治療は効果がありますか?
- 歯ぎしり抑制・筋肉の緊張緩和に有効です。
- 夜だけつければいいですか?
- 多くは夜間使用ですが、症状によって昼も使います。
- 投薬治療は何を使いますか?
- 鎮痛薬、筋弛緩薬、場合により抗不安薬を用います。
- スプリント治療はどれくらい続けますか?
- 1〜3か月が目安です。
- 顎の運動療法は効果がありますか?
- 非常に効果的です。筋肉を柔らかく保ちます。
- どんな運動をしますか?
- 開口訓練、側方運動、ストレッチなどです。
- マッサージは有効ですか?
- 咬筋や側頭筋をほぐすと痛みが改善します。
- 温めるのと冷やすの、どちらが良いですか?
- 筋肉痛 ⇒ 温める
急な炎症 ⇒ 冷やす
- 姿勢改善は本当に必要ですか?
- 大変重要です。猫背は症状を悪化させます。
- 食いしばり防止のトレーニングはありますか?
- 常に上下の歯を離す「安静位」を意識することです。
- 口の開け方にコツはありますか?
- 前にスライドしないよう、まっすぐ下に開ける練習をします。
- 顎関節症がひどいときは軟らかいものを食べた方が良いですか?
- はい。顎の負担が減ります。
- 硬い食べ物は禁止ですか?
- 一時的に控えるだけで、治れば食べられます。
- ボトックス治療は有効ですか?
- 咬筋過緊張による痛みに有効です(自由診療)。
- 電気治療やレーザー治療は?
- 血流改善・筋緊張緩和に役立ちます。
- 顎関節症の治療期間はどれくらい?
- 軽症は数週間、慢性例は数か月です。
- 運動療法は毎日必要ですか?
- はい。毎日の継続が改善に結びつきます。
- 痛いほうの顎を動かしても良いですか?
- 過剰に動かさなければ問題ありません。
- サプリメントは効果がありますか?
- ビタミンB群・Mgなどが筋肉疲労の改善に寄与することがあります。
- アロマやリラクゼーションは効果的ですか?
- ストレス軽減により間接的に効果があります。
- 噛み合わせを大きく変える治療は必要ですか?
- 原則不要です。
- スプリントをやめるタイミングは?
- 痛みの改善・筋肉の柔らかさが戻ったら中止します。
生活改善
- 食いしばりを止めるコツは?
- 上下の歯を離し、舌を上顎につける習慣をつけること。
- 猫背は顎関節症の原因ですか?
- 大きく関係します。
- 顎に負担をかけない寝方は?
- 仰向けがベストです。
- うつ伏せ寝は良くないですか?
- 顎がねじれ、片側に負担がかかります。
- 歯を食いしばらないための対策は?
- 唇を閉じ、歯は離す「リラックスポジション」を意識します。
- ストレス発散は効果がある?
- 歯ぎしりの減少に直結します。
- 口を大きく開ける癖は良くない?
- はい。関節円板がズレる原因になります。
- 長時間のガムはNG?
- はい。筋肉を疲労させます。
- よく噛んで食べるのは悪い?
- 普段は良いですが、症状が出ている時期は控えます。
- 一日のうちで顎関節に負担が大きい習慣は?
- 食いしばり、姿勢不良、長時間の電話、頬杖など。
- マスク生活で顎関節症が増えるのはなぜ?
- 口呼吸・下顎の後退・姿勢不良が増えるためです。
- 運動不足が影響する理由は?
- 姿勢悪化とストレス増加につながるからです。
- 水分不足は顎関節に影響しますか?
- 筋肉の代謝低下につながり痛みが出やすくなります。
- コーヒーは悪化しますか?
- カフェインで筋緊張が増す人がいます。
- 食生活の改善も必要ですか?
- はい。疲労回復と筋肉の正常化に役立ちます。
長期管理
- 顎関節症は再発しますか?
- します。生活習慣が戻ると再発しやすいです。
- 定期的に通院した方が良い?
- 症状が安定するまでは必要です。
- マウスピースは一生使う?
- 使い方は人によって異なりますが、長期管理に有効です。
- スプリントの寿命は?
- 1〜2年程度です。
- マウスピースが合わなくなってきたら?
- 噛み合わせ変化の可能性があり、作り替えが必要です。
- 運動療法はいつまで続ける?
- 症状改善後も習慣として続けることが理想です。
- 再発予防の最も大切なポイントは?
- 食いしばり習慣の改善です。
- 睡眠の質も関係する?
- 大きく影響します。質が悪いと歯ぎしりが増えます。
- ストレス管理は必須?
- はい。顎関節症とストレスは強く関連します。
- 筋トレは顎関節症に影響は?
- 急激な食いしばりに注意すれば問題ありません。
- 旅行や忙しい時に悪化する理由は?
- 食いしばり増加・睡眠不足・姿勢の変化が原因です。
- 顎関節症は完治しますか?
- 多くの方が改善し、日常生活に支障なく過ごせます。
- 顎関節がすり減ることはありますか?
- 長期的には骨の変形が進むことがあります。
- 顎関節の変形は治せますか?
- 軟骨・骨は元に戻りませんが、痛みの改善は可能です。
- 顎関節症と一生付き合わないといけませんか?
- 適切な治療と習慣改善で、多くの方は問題なく生活できます。
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