「多職種連携(特に高齢者・誤嚥性肺炎・口腔・在宅医療を中心に)」 Q&A集
Ⅰ.多職種連携の基本
- 多職種連携とは何ですか?
- 異なる専門職が、それぞれの専門性を活かしながら協働することです。
- チーム医療と同じ意味ですか?
- 近い概念ですが、多職種連携はより「対等性」と「役割分担」を重視します。
- なぜ多職種連携が必要なのですか?
- 一職種では複雑な問題に対応できないためです。
- 高齢者医療で重要な理由は?
- 医療・介護・生活支援が同時に必要だからです。
- 誤嚥性肺炎と多職種連携は関係しますか?
- 密接に関係します。単独職種では再発防止が困難です。
- 連携が不十分だとどうなりますか?
- 再入院、肺炎再発、QOL低下につながります。
- 多職種連携の最終目的は何ですか?
- 患者の生活の質(QOL)と尊厳の維持です。
- 医療職同士だけの連携で十分ですか?
- いいえ。介護・福祉・家族も含めて考えます。
- 在宅医療では特に重要ですか?
- はい。現場で即時対応できる体制が必要です。
- 多職種連携は時間がかかりませんか?
- 初期はかかりますが、長期的には効率化します。
- 主治医が中心になるべきですか?
- 医学的判断は主治医、生活面は他職種が補完します。
- リーダーは必要ですか?
- 状況により変わる「柔軟なリーダーシップ」が重要です。
- 対等な関係は可能ですか?
- 可能です。専門性の違いを尊重することが前提です。
- 連携に最も必要な姿勢は?
- 「自分の専門だけが正しいと思わない」姿勢です。
- 多職種連携は技術ですか?
- 技術であり、文化でもあります。
Ⅱ.関わる職種と役割
- 医師の役割は何ですか?
- 診断・治療方針決定・全体の医学的統括です。
- 歯科医師の役割は?
- お口の中の管理、誤嚥性肺炎予防、摂食嚥下支援です。
- 歯科衛生士の役割は?
- 専門的口腔ケアと日常ケア指導です。
- 看護師の役割は?
- 全身観察、生活支援、情報のハブです。
- 言語聴覚士(ST)の役割は?
- 嚥下評価・訓練・食形態助言です。
- 管理栄養士の役割は?
- 栄養評価と食事内容の調整です。
- 理学療法士(PT)の役割は?
- 姿勢保持、全身筋力維持です。
- 作業療法士(OT)の役割は?
- 食事動作や生活動作の調整です。
- 介護職の役割は?
- 日常生活の実践的支援と変化の発見です。
- ケアマネジャーの役割は?
- 多職種をつなぐ調整役です。
- 薬剤師の役割は?
- 嚥下に影響する薬剤の調整です。
- 訪問診療医の役割は?
- 在宅での医療判断と連携調整です。
- 家族は多職種に含まれますか?
- 含まれます。最重要メンバーです。
- 本人の役割は?
- 意思表明と生活の主体です。
- 誰が「現場の変化」に最初に気づきますか?
- 多くは介護職や家族です。
- 歯科が連携に入らないとどうなりますか?
- お口の中に起因するリスクが見逃されます。
- 言語聴覚士(ST)が不在の場合は?
- 他職種が代替評価しつつ専門家へつなぎます。
- 職種間で役割が重なることは問題ですか?
- 問題ではなく、補完関係です。
- 職種の上下関係は必要ですか?
- 不要です。専門性の違いのみ存在します。
- 「誰の仕事か分からない」ことはありますか?
- あります。だからこそ話し合いが必要です。
Ⅲ.情報共有・コミュニケーション
- 情報共有の基本は何ですか?
- 簡潔・正確・タイムリーです。
- 口腔情報は共有すべきですか?
- 必須です。誤嚥リスクに直結します。
- 食事中の様子は重要ですか?
- 非常に重要です。
- 専門用語は使うべきですか?
- 相手に応じて使い分けます。
- 連絡手段は何が望ましいですか?
- 状況により電話・FAX・メ—ル・ICT(情報通信技術)・記録を使い分けます。記録が残るものが望ましいです。
- カンファレンスは必要ですか?
- 必要です。特に方針変更時は必須です。
- 短時間カンファレンスでも意味はありますか?
- 十分あります。
- 記録は誰のためですか?
- 患者さんとチーム全体のためです。
- 口頭連絡だけで十分ですか?
- 重要事項は必ず記録に残します。
- 食事形態変更は共有すべきですか?
- 絶対に必要です。
- 連携ミスはなぜ起こりますか?
- 思い込みと情報不足です。
- 「言ったつもり」は危険ですか?
- 非常に危険です。
- 職種間で意見が違う場合は?
- 患者視点に立ち返ります。
- 遠慮は必要ですか?
- 専門的懸念は遠慮せず伝えます。
- 家族への説明は誰が行いますか?
- 内容に応じて複数職種で行います。
- 情報量が多すぎる場合は?
- 優先順位を明確にします。
- ICT(情報通信技術)連携は有効ですか?
- 在宅では特に有効です。
- 連携ノートは役立ちますか?
- 非常に役立ちます。
- 非公式な会話も重要ですか?
- 信頼構築に重要です。
- 情報共有の目的は?
- 行動を変えるためです。
Ⅳ.誤嚥・口腔・栄養との連携
- 誤嚥性肺炎予防に誰が関与しますか?
- 全職種が関与します。
- 口腔ケア情報は誰に伝えるべきですか?
- 看護・介護・医師です。
- 食事姿勢は誰が調整しますか?
- PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・介護職が中心です。
- 嚥下評価結果は共有すべきですか?
- 必須です。
- とろみの濃さは統一すべきですか?
- はい。ばらつきは危険です。状態により適宜調整することが重要です。
- 義歯の有無は重要ですか?
- 非常に重要です。
- 義歯不適合情報は共有されていますか?
- されていないことが多く注意が必要です。
- 低栄養情報は誰が共有しますか?
- 管理栄養士・看護師です。
- 食事量低下は誰が最初に気づきますか?
- 介護職や家族です。
- 口腔乾燥は共有事項ですか?
- はい。
- 発熱前に兆候はありますか?
- 食欲低下・口腔内の汚染悪化があります。
- 歯科訪問のタイミングは?
- 誤嚥兆候が出たら早期です。出来るだけ早いタイミングが重要です。
- 栄養と嚥下は切り離せますか?
- 切り離せません。
- 食形態変更は誰が決めますか?
- 医師・ST(言語聴覚士)・栄養士の協議です。
- 家族の理解は重要ですか?
- 極めて重要です。
- 無理な経口摂取は防げますか?
- 連携があれば防げます。
- 口腔ケア拒否はどう対応しますか?
- 多職種で原因を探ります。
- 認知症がある場合の連携は?
- 環境調整が重要です。
- 連携がうまくいくと何が変わりますか?
- 全身状態の悪化防止や 肺炎の再発率が下がります。
- 歯科が入る最大の意義は?
- 「予防」が可能になることです。
Ⅴ.在宅・施設・終末期
- 在宅医療で連携は難しいですか?
- 難しいですが、最も重要です。
- 施設での連携課題は?
- 情報伝達の断絶です。
- 夜間の変化はどう共有しますか?
- 記録と申し送りです。
- 急変時の役割分担は?
- 事前に決めておきます。
- ACP(人生会議)は多職種で行いますか?
- 行います。
- 終末期でも連携は必要ですか?
- むしろ必要です。
- 口腔ケアは最期まで必要ですか?
- 必要です。
- 食べることをどう支えますか?
- リスクと希望のバランスです。
- 延命とケアの違いは?
- 目的が異なります。
- 職種間の意見対立はありますか?
- あります。
- どう解決しますか?
- 本人の価値観に立ち返ります。
- 家族の不安は誰が支えますか?
- チーム全体です。
- 連携がうまくいった例の特徴は?
- 情報共有が早いです。
- 失敗例の共通点は?
- 職種の分断です。
- 連携力は経験で身につきますか?
- 意識的な訓練で身につきます。
- 若手でも連携できますか?
- 可能です。
- ベテランの役割は?
- 調整と教育です。
- 多職種連携に正解はありますか?
- 一つではありません。
- 地域差はありますか?
- あります。
- 小規模地域でも可能ですか?
- むしろ可能です。
- 連携は患者を守りますか?
- 守ります。。
- 多職種連携の本質は?
- 相互理解です。
- 最も大切な視点は?
- 「この人の生活をどう支えるか」です。
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