⭐インプラント前処置とは?
インプラント前処置は、インプラント治療の成功率と長期安定性を左右する重要まステップです。
「手術前の準備」という一言では済まされず、口腔内・全身・生活習慣まで含めた総合的な医療行為と考える必要があります。
インプラント前処置とは何か
インプラント前処置とは、
インプラントを安全かつ長期的に機能させるために、埋入前に必ず行う評価・治療・環境整備の総称です。
目的は大きく3つあります。
① 感染リスクを最小化する
② インプラントが安定する口腔環境を作る
③ 将来のインプラント周囲炎を防ぐ
インプラントは「無菌的な骨内治療」であるため、
前処置を軽視すると、成功率が大きく低下することが明らかになっています。
1.全身状態の評価(医科的前処置)
① 全身疾患の確認
インプラント治療前には、必ず全身状態を確認します。
特に重要なのは、
☞糖尿病
☞心血管疾患
☞骨粗鬆症
☞免疫抑制状態
☞喫煙習慣
【エビデンス】
☞コントロール不良の糖尿病(HbA1c高値)は
→ インプラント失敗率・感染率が有意に上昇
☞喫煙者は
→ 非喫煙者に比べインプラント脱落率が約2倍
👉 必要に応じて、主治医との医科連携を行います。
② 服用薬剤の確認
特に注意が必要な薬剤:
☞ビスフォスフォネート製剤
☞デノスマブ
☞抗凝固薬
☞ステロイド
これらは、
☞顎骨壊死
☞出血リスク
☞治癒遅延
に関係するため、手術可否・方法の慎重な判断が必要です。
2.口腔内感染源の除去(最重要)
インプラント前処置の原則
👉 感染源を残したままインプラントは入れない
これは世界共通の原則です。
① 歯周病治療
歯周病は、インプラント周囲炎の最大のリスク因子です。
【必須処置】
☞歯石除去
☞ルートプレーニング
☞歯周ポケットの改善
☞出血・炎症のコントロール
〇エビデンス
歯周病既往者は、
インプラント周囲炎リスクが約3~4倍
👉 歯周病が安定してからインプラントに進みます。
② むし歯・根尖病変の治療
☞深いう蝕
☞不完全な根管治療
☞根尖性歯周炎
これらは、
☞細菌の供給源
☞術後感染の原因
となるため、事前に必ず治療完了させます。
④ 抜歯の必要性判断
☞保存不能歯
☞破折歯
☞重度歯周病歯
は、インプラント前に抜歯します。
場合によっては、
抜歯即時埋入
抜歯後待時埋入
を選択します。
3.骨・歯肉の前処置(外科的準備)
① 骨量・骨質の評価
歯科用CTで、
☞骨の高さ
☞幅
☞密度
☞解剖学的構造(神経・上顎洞)
を三次元的に評価します。
② 骨造成処置
骨が不足している場合、
☞GBR(骨誘導再生)
☞サイナスリフト
☞ソケットプリザベーション
などを行います。
【目的】
インプラントを理想的な位置に入れるため
長期安定性の確保
③ 軟組織(歯肉)前処置
☞角化歯肉の不足
☞薄い歯肉(バイオタイプ)
は、インプラント周囲炎リスクを高めます。
必要に応じて、
☞歯肉移植
☞結合組織移植
を行います。
4.咬合・顎機能の前処置
咬み合わせ評価は必須
☞歯ぎしり
☞食いしばり
☞不正咬合
は、インプラント破損・脱落の原因になります。
前処置として
☞咬合調整
☞スプリント(マウスピース)
☞補綴設計の見直し
を行います。
5.口腔清掃指導・患者教育
インプラントは「セルフケア依存型治療」
天然歯以上に、
☞清掃
☞管理
☞継続通院
が重要です。
前処置段階で、
☞正しい歯磨き方法
☞補助清掃用具
☞定期管理の重要性
を十分に説明します。
👉 清掃意欲が低い場合は、治療自体を再検討することもあります。
6.心理的・社会的前処置
見落とされがちですが重要です。
☞治療期間
☞費用
☞メンテナンスの必要性
☞将来のリスク
を正しく理解・納得してもらうことが、長期成功に直結します。
7.前処置を怠った場合のリスク
☞インプラント周囲炎
☞早期脱落
☞骨吸収
☞再治療・抜去
☞医療トラブル
👉 失敗の多くは「前処置不足」に起因します。
まとめ(最重要)
インプラント前処置とは、
感染源の徹底除去
骨・歯肉・咬合の環境整備
全身状態の把握
患者教育と合意形成
を含む、治療の成否を決める土台作りです。
インプラントは
👉 「入れる前」で結果がほぼ決まる
と言っても過言ではありません。


