「型取り(印象採得)」に関するQ&A 集
基本編
- 歯科でいう「型取り」とは何ですか?
- お口の中の歯や歯ぐきの形を、口の外で再現するために行う作業を「印象採得(いんしょうさいとく)」といいます。
- なぜ型取りが必要なのですか?
- 被せ物や詰め物を正確に作るためには、歯の形・大きさ・位置関係を正確に再現する必要があるからです。
- 型取りは患者さんにとって負担が大きいですか?
- はい。
材料が口の中に入る、型取りの材料が完全に固まるまで、口を大きく開け続ける、嘔吐反射が出るなど、患者さんにも術者にも負担の大きい処置です。
- 型取りが「厄介な作業」と言われるのはなぜですか?
-
患者さんの苦痛が大きい
失敗するとやり直しになる
精度が被せ物の良し悪しを左右するためです。
- 良い型取りとはどのようなものですか?
-
以下の3点が重要です。
形態再現性(形が正確)
寸法精度(大きさが正確)
細部再現性(境目や細かい部分が明瞭)
印象材について
- 型取りに使う材料にはどんな種類がありますか?
- 主に以下があります。
シリコーンゴム印象材
アルジネート印象材
寒天印象材
ポリエーテルゴム印象材
ポリサルファイドゴム印象材
- 一番よく使われている印象材は何ですか?
- アルジネート印象材です。
安価で操作が簡単なため、現在も多く使われています。
アルジネート印象材
- アルジネート印象材の特徴は?
-
安価
操作が簡単
概形印象(スナップ印象)向き
寸法精度はやや劣る
変形しやすい
- アルジネート印象材で最も重要な注意点は?
-
硬化後は一気に外し、すぐに石膏を注ぐことです。
- なぜすぐ石膏を注ぐ必要があるのですか?
- 離液や膨潤によって、時間とともに変形するからです。
シリコーンゴム印象材
- シリコーン印象材には種類がありますか?
- はい。
縮合型
付加型(現在主流)
- 付加型シリコーン印象材の特徴は?
-
永久ひずみが最小
寸法安定性が高い
精密印象に最適
硬化体がやや硬い
- シリコーン印象材で重要な操作ポイントは?
- 防湿・乾燥が重要です。
疎水性が強いため、水分があると精度が落ちます。
ポリエーテル・寒天印象材
- ポリエーテルゴム印象材の特徴は?
-
永久ひずみが小さい
硬い
吸水すると膨張する
- 寒天印象材の特徴は?
-
可逆性(温度で変化)
精密印象が可能
寸法変化しやすい
アルジネートとの連合印象で使用されることが多い
印象法について
- 印象法にはどんな種類がありますか?
-
単一印象法
連合印象法
二重同時印象法(ダブルミックス)
個歯トレー印象法
咬合印象法
- 連合印象法とは何ですか?
- 概形印象と精密印象を2段階で行う方法です。
- ダブルミックス印象法の特徴は?
- 流動性の違う材料を同時に使用し、精密さと効率を両立します。
- 個歯トレー印象法のメリットは?
-
精度が高い
変形が少ない
歯肉圧排が不要
- 咬合印象法とは何ですか?
- 支台歯と対合歯、噛み合わせを同時に印象する方法です。
光学印象(口腔内スキャナー)
- 光学印象とは何ですか?
- カメラ(スキャナー)で歯を読み取り、デジタルデータとして型取りする方法です。
- 光学印象の最大のメリットは?
-
印象材を使わないことです。
- 光学印象は患者さんにどんな利点がありますか?
-
苦痛が少ない
嘔吐反射が出にくい
短時間
- 衛生面でのメリットは?
- 消毒が不要で、感染対策に優れています。
- 光学印象は精度が高いのですか?
- はい。
リアルタイムで形成確認・修正が可能です。
- 同じ被せ物をもう一度作れますか?
- はい。
データが保存されているため何度でも再製作可能です。
- 光学印象にも歯肉圧排は必要ですか?
- フィニッシュライン(被せ物の最外縁)が歯肉縁下(歯ぐきの頂点の下)の場合、必要になります。
歯肉圧排について
- 歯肉圧排とは何ですか?
- 型取り時に歯ぐきを一時的に広げ、境目を明確にする処置です。
- なぜ歯肉圧排が必要なのですか?
- 被せ物の縁を正確に型取りするためです。
- 歯肉圧排にはどんな方法がありますか?
-
1重圧排法
2重圧排法
- 2重圧排法の利点は?
- 出血や滲出液の影響を確実に防げます。
- 圧排糸に使われる薬剤は?
-
塩化アルミニウム
塩化第二鉄
ミョウバン
印象後の消毒
- 印象後は消毒が必要ですか?
- はい。感染防止のため必須です。
- アルジネート印象材の消毒方法は?
-
水洗120秒
次亜塩素酸ナトリウム浸漬
- シリコーン印象材の消毒は?
-
水洗30秒
次亜塩素酸ナトリウムまたはグルタラール溶液
- 印象材によって消毒の影響は違いますか?
- はい。
ハイドロコロイド系は変形しやすいです。
- なぜ良い被せ物には良い型取りが必要なのですか?
- 型取りは被せ物の精度を決める最初のステップだからです。
- 型取りの失敗はどんな問題を引き起こしますか?
-
合わない被せ物
再製作
再来院
- 光学印象は今後主流になりますか?
- はい。
患者さん・術者双方の負担が少ないため、今後さらに普及すると考えられます。
- すべての医院で光学印象は使えますか?
- 現在は設備のある医院に限られますが、今後拡大が期待されています。
- 患者さんに型取りについて説明すると?
-
精密な被せ物を作るための大切な工程です
- 嘔吐反射が強い人への対応は?
- 光学印象が非常に有効です。
- 型取りは治療の一部ですか?
- はい。
精密治療の成否を左右する重要な治療行為です。
- 型取りの精度は誰の責任ですか?
- 術者の責任です。
- 患者さんの協力は必要ですか?
- はい。
安静・指示遵守が精度向上につながります。
- 型取りに時間がかかるのはなぜですか?
- 精度を優先しているためです。
- 型取りが楽になる未来は来ますか?
- 光学印象の普及により、確実に近づいています。
- 型取りは進化している分野ですか?
- はい。
アナログからデジタルへ大きく進化しています。
- 型取りが上手な歯科医院の特徴は?
-
再製作が少ない
精度の高い補綴物を作っている
- 型取りについて一言で言うと?
-
「良い補綴物は、良い型取りから始まる」
Copyright © 2022-2026 Shiron Dental Office. All Rights Reserved.