根管治療に用いるEDTA・次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)Q&A集
Ⅰ.総論(根管洗浄の考え方)
- 根管治療で「洗浄」が重要なのはなぜですか?
- 器具だけでは届かない細菌・壊死組織・スメア層を化学的に除去するためです。
- 機械的清掃だけでは不十分ですか?
- はい。根管の複雑な形態(側枝・イスムス)には化学洗浄が不可欠です。
- EDTAと次亜塩素酸Naは何のために使いますか?
-
次亜塩素酸Na:殺菌・有機質溶解
EDTA:無機質(スメア層)除去
という役割分担があります。
- 両方使う必要がありますか?
- はい。作用対象が異なるため併用が基本です。
Ⅱ.次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)について
- 次亜塩素酸ナトリウムとは何ですか?
- 強い殺菌作用と有機物溶解作用をもつ根管洗浄薬です。
- なぜ根管治療で最も重要な洗浄薬とされますか?
- 細菌・バイオフィルム・壊死組織を溶解できる唯一の薬剤だからです。
- どのような細菌に効果がありますか?
- 根管内の嫌気性菌を含む広範な細菌に有効です。
- バイオフィルムにも効果はありますか?
- はい。物理的破壊+化学的殺菌作用があります。
- 濃度はどのくらい使われますか?
- 一般的に0.5~5%程度が使用されます(施設方針による)。
- 濃度が高いほど良いのですか?
- 殺菌力は高まりますが、組織刺激性も増すためバランスが重要です。
安全性・注意点
- 次亜塩素酸Naは危険ですか?
- 適切に使用すれば安全ですが、根尖外逸出には注意が必要です。
- 根尖外に漏れるとどうなりますか?
- 強い疼痛・腫脹・組織障害を起こす可能性があります。
- なぜラバーダム防湿が必須なのですか?
- 薬液誤飲・漏洩防止と無菌的処置のためです。
Ⅲ.EDTAについて
- EDTAとは何ですか?
- キレート作用をもつ薬剤で、無機質成分を溶解します。
- 根管治療では何の目的で使いますか?
- スメア層(切削粉+有機・無機物)を除去するためです。
- スメア層とは何ですか?
- 根管形成時にできる、根管壁を覆う薄い汚れの層です。
- スメア層を除去する理由は?
-
洗浄薬の浸透性向上
根管充填材の封鎖性向上
のためです。
- EDTAに殺菌作用はありますか?
- 強い殺菌作用はありません。
- EDTAは有機物を溶かしますか?
- いいえ。主に無機質に作用します。
使用上の注意
- EDTAを長時間使うとどうなりますか?
- 象牙質が過度に脱灰され、歯質が弱くなる可能性があります。
- EDTAの使用時間の目安は?
- 一般的に1分前後が推奨されます。
- 根管拡大中ずっと使っても良いですか?
- 過剰使用は避け、最終洗浄での使用が一般的です。
Ⅳ.EDTAと次亜塩素酸Naの併用
- なぜ2種類を使い分けるのですか?
- 有機質と無機質の両方を除去するためです。
- 使用順序は重要ですか?
- はい。一般的にはNaOCl → EDTA → NaOCl
の順で使用します。
- 最後にNaOClを使う理由は?
- EDTA使用後に残る有機物や細菌を再度殺菌するためです。
- 混ぜて使っても良いですか?
- いいえ。化学反応を起こすため避けます。
- CHX(クロルヘキシジン)との併用は?
- NaOClと直接混合すると沈殿が生じるため注意が必要です。
Ⅴ.治療成績・エビデンスとの関係
- 洗浄薬は根管治療の成功率に影響しますか?
- はい。細菌除去の成否が予後を大きく左右します。
- EDTAを使わないとどうなりますか?
- スメア層が残り、根管充填の封鎖性が低下します。
- NaOClを使わない治療はありますか?
- 殺菌効果が不十分となり、再発リスクが高まります。
- 再根管治療ではより重要ですか?
- はい。難治性細菌への対策として特に重要です。
Ⅵ.患者説明に使えるQ&A
- 強い薬を使って大丈夫ですか?
- 歯の中だけに使い、体には影響しないよう管理しています。
- 痛みの原因になりますか?
- 適切に使用すれば痛みの原因にはなりません。
- 薬のにおいが気になります
- 次亜塩素酸Na特有のにおいですが、治療効果のために必要です。
- 安全対策はしていますか?
- ラバーダム防湿や吸引などで安全管理を徹底しています。
Ⅶ.まとめ
- 次亜塩素酸Naの本質的役割は?
- 根管内の細菌・有機物除去の中核です。
- EDTAの本質的役割は?
- 根管壁環境を整え、治療の仕上がりを高めることです。
- 両者は代替できますか?
- できません。役割が全く異なります。
- 洗浄薬の使い方で治療の質は変わりますか?
- はい。根管治療の成否を左右する重要因子です。
- 患者にとっての最大のメリットは?
- 再発しにくく、歯を長く残せる可能性が高まることです。
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