⭐幼児の歯科治療をスムーズに進めるために
幼児の歯科治療がスムーズに進むかどうかは、治療当日よりも「それ以前の親の関わり方」と「拒絶した後の対応」でほぼ決まります。
ここでは、小児歯科・発達心理・臨床現場の視点から解説します。
1)大前提:幼児が歯科治療を拒否するのは「正常」
まず最も大切な認識です。
幼児にとって歯科は
👉 見知らぬ場所・見知らぬ大人・口の中という最も敏感な領域
「怖い」「嫌だ」「泣く」は防衛反応であり異常ではありません
❌「うちの子には問題がある」
⭕「誰でも通る発達段階」
2)治療前にできる【親の配慮】(最重要)
① 歯科を“特別な場所”にしない
痛くなってから初受診 → 恐怖と結びつく
予防・見学・健診からスタートが理想
👉「歯医者=普段から行く場所」
② 事前説明の「NGワード」を避ける
❌ 絶対に避けたい言葉
・「痛くないから」
・「すぐ終わるから」
・「怖くないよ」
・「動いたらダメ!」
👉 子どもは「痛い・怖い」を先に想像します
⭕ OKな言い方
☞「お口を見てもらうよ」
☞「歯を数えてもらうよ」
☞「座ってみるだけ」
③ ご褒美で釣らない
・「終わったらお菓子」
・「頑張ったら○○買う」
👉 歯科=嫌なことという前提を強化してしまう
④ 親自身がリラックスする
親の緊張・不安は子どもに伝染
「ちゃんと出来るかな…」は表情に出る
👉 親が落ち着いていることが最大の安心材料
3) 家庭でできる「歯科慣れ」トレーニング
日常でできること
☞膝の上で仰向けになる練習
☞口を開けて「アー」
☞懐中電灯で口をのぞく
☞仕上げ磨きを“診療ごっこ”に
👉 診療室で初体験にしない
4) 初診時に親がやるべきこと
① 抱っこ・同席を前提にする
無理に一人にしない
押さえつけない
② 泣いても叱らない
❌「ほら、泣かない!」
❌「恥ずかしいでしょ!」
👉 歯科嫌いを決定づける言葉
③ 成功の基準を下げる
初回のゴールは:
☞椅子に座れた
☞口を少し開けられた
☞診療室に入れた
👉 治療できなくても成功
5) 一度診療を拒絶した幼児への対応策(重要)
① 「今日はできなかった」を肯定する
親の声かけ例:
〇「今日は練習できたね」
〇「座れただけでもすごいね」
❌「せっかく来たのに」
❌「なんで出来ないの」
② 無理にその場で治療しない
抑制治療は最後の選択肢
トラウマになるリスクが高い
👉 治療延期=失敗ではない
③ 短い再来院を重ねる
次は「座るだけ」
次は「ミラーで見るだけ」
次は「風を当てるだけ」
👉 Tell–Show–Do(説明→見せる→やる)
④ 親が診療の主導権を手放す
親が説得役になると逆効果
医療者との信頼関係を優先
6)どうしても治療が必要な場合の選択肢
状況に応じて
・治療時期の調整
・回数を分けた処置
・行動調整法
・鎮静法(年齢・適応を厳密に判断)
👉 「早く終わらせる」より「将来につなげる」
7) 親が絶対にやってはいけないこと(まとめ)
☞嘘をつく(痛くない等)
☞脅す・怒る
☞比較する
☞無理やり押さえつける
☞失敗体験として記憶させる
8) 本質的な考え方(とても大切)
幼児歯科治療の成功とは
その日に治療が終わることではなく、
「次も歯医者に来られる子」に育てること
【親御さんへの最終メッセージ】
☞泣いてもOK
☞逃げてもOK
☞今日は無理でもOK
大人が焦らなければ、子どもは必ず成長します。


