接着カンチレバー装置(接着カンチレバーブリッジ)に関するQ&A集
基本概念編
- 接着カンチレバー装置とは何ですか?
-
少数歯欠損に対して、1本の支台歯のみを用い、片持ち梁(カンチレバー)構造で欠損部を補う固定性補綴装置です。
- 一般的なブリッジと何が違うのですか?
-
一般的なブリッジは複数歯を支台としますが、接着カンチレバー装置は支台歯が1歯のみであり、厳密にはブリッジとは異なります。
- 延長ブリッジとは違うのですか?
-
はい。
延長ブリッジは複数歯支台が前提ですが、接着カンチレバー装置は1歯支台のみであり、延長ブリッジの定義には該当しません。
- なぜ「装置」と呼ぶのですか?
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構造的にブリッジの定義を満たさないため、日本補綴歯科学会では
**「接着カンチレバー装置」**という名称で定義しています。
開発背景・考え方
- 接着カンチレバー装置は新しい治療法ですか?
-
はい。
少数歯欠損に対する新しい補綴概念として近年注目されています。
- なぜ従来の接着ブリッジだけでは不十分だったのですか?
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従来の接着ブリッジでは、
片側リテーナー脱離に気づきにくい
二次齲蝕が進行しやすい
という問題がありました。
- 接着カンチレバー装置はそれをどう改善しますか?
-
脱離=装置全体の脱離となるため、
異常に気づきやすく、支台歯のトラブルを早期に発見できます。
- 海外では一般的ですか?
-
はい。
海外では少数歯欠損の有力な選択肢として既に定着しています。
エビデンス・位置づけ
- 日本補綴歯科学会は推奨しているのですか?
-
旧ガイドラインでは推奨されていませんでしたが、
近年の臨床成績の蓄積により、2024年現在では十分なエビデンスがあると判断されています。
- 成績は良いのですか?
-
はい。
国内外で良好な長期予後が多数報告されています。
保険診療における位置づけ
- 保険診療で使用できますか?
-
はい。
条件を満たせば保険診療で可能です。
- 保険で適応となる欠損部位は?
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上顎中切歯を除く切歯
上顎側切歯・下顎切歯
計6歯のうち1歯欠損のみ
- 2歯連続欠損は可能ですか?
-
いいえ。
2歯連続欠損は適応外です。
- 一口腔内で最大いくつ装着できますか?
-
上顎:最大2装置
下顎:最大2装置
適応症・禁忌症
- 適応となる支台歯の条件は?
-
健全歯、または歯周治療後に安定している
動揺がない
骨植が良好
エナメル質が多い
- 歯周病の歯は使えませんか?
-
歯周基本治療後に十分な支持能力があると判断されれば可能です。
- 禁忌となる症例は?
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咬合が緊密
強い咬耗
ブラキシズム
齲蝕リスクが高い患者
設計・形成
- 装置の基本構成は?
-
支台装置1ユニット
ポンティック1ユニット
計2ユニット構成
- 支台歯はどう選びますか?
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両隣在歯のうち
骨植が良好
健全エナメル質が多い歯
- 形成はどこまで削りますか?
-
原則としてエナメル質内のみです。
- フィニッシュラインの位置は?
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歯肉側:歯肉縁から約1mm離す
切縁側:切縁から約1mm離す
- レストやグルーブは必要ですか?
-
必要に応じて付与します。
脱離防止・回転防止・位置決めに有効です。
- 下顎切歯で注意点は?
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エナメル質が薄いため、形成の深さに特に注意します。
材料・厚み
- 金属材料は何を使用しますか?
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歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金です。
- ポンティックの前装材料は?
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保険適用では、間接修復用コンポジットレジンです。
- 装置の厚みは重要ですか?
-
非常に重要です。
対合歯とのクリアランス1mm程度を確保します。
咬合調整
- 咬合調整は重要ですか?
-
はい。
接着カンチレバー装置の成否を左右する重要な要素です。
- ポンティック部の咬合はどうしますか?
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早期接触を避ける
無咬合にはしない
接触は1点のみ
- 偏心運動時の配慮は?
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ポンティック部に滑走接触を与えないようにします。
- 支台歯の咬合接触は?
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歯質とメタルフレームの両方に接触を与えます。
接着・再装着
- 被着面処理は特別ですか?
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基本的には接着ブリッジに準じた方法です。
- 象牙質が露出した場合は?
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象牙質用の適切な歯面処理を行い確実な接着を行います。
- 脱離したらどうなりますか?
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2ユニット構成のため、装置全体が脱離します。
- 再装着は可能ですか?
-
多くの場合可能です。
変形が少なく、支台歯が健全であれば再装着できます。
- 再装着時の手順は?
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セメント除去
適合確認
咬合再調整
再接着
接着ブリッジとの違い
- どんな場合に接着ブリッジを選びますか?
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臼歯部欠損
切歯以外の欠損
咬合調整が困難な症例
- 上顎中切歯欠損には使えますか?
-
いいえ。
上顎中切歯欠損は適応外です。
まとめ
- 接着カンチレバー装置の最大のメリットは?
-
支台歯1歯のみ
歯質削除量が最小
再装着が容易
チェアタイムが短い
- デメリットはありますか?
-
咬合設計に高い配慮が必要
適応症が限定される
- 接着カンチレバー装置とは一言で言うと?
-
「MIを徹底した、少数歯欠損に対する合理的な固定性補綴装置」
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