認知症と歯科との関係 Q&A 集
① 基本理解編
- 認知症と歯科は関係がありますか?
- はい。口腔の健康状態は、認知症の発症・進行・生活の質(QOL)と深く関係しています。
- なぜ歯科が認知症に関係するのですか?
- 「噛む力」「炎症」「栄養」「誤嚥」「社会的交流」など、口腔機能が脳と全身に影響する要素が多いためです。
- 歯が少ないと認知症になりやすいのですか?
- 多くの研究で、残存歯数が少ない人ほど認知症リスクが高いことが報告されています。
- 入れ歯を使えばリスクは下がりますか?
- はい。適切に合った義歯で噛めている人は、認知機能低下が緩やかであると報告されています。
② 噛むこと・脳との関係
- 噛むことは脳にどのような影響を与えますか?
- 咀嚼は脳血流を増やし、記憶や判断に関与する前頭葉・海馬を刺激します。
- 噛めない状態が続くとどうなりますか?
- 脳刺激の低下 食事量・栄養の低下社会的活動の減少が重なり、認知機能低下が進行しやすくなります。
- 片側だけで噛むのも問題ですか?
- はい。左右差は咀嚼効率低下や顎機能低下につながり、脳刺激の偏りが生じます。
③ 歯周病・炎症と認知症
- 歯周病は認知症と関係がありますか?
- はい。歯周病による慢性炎症や細菌・炎症物質が、認知症と関連すると考えられています。
- 歯周病菌が脳に影響するのですか?
- 一部の研究では、歯周病菌や炎症因子が血流を介して脳に影響する可能性が示唆されています。
- 認知症の人は歯周病が悪化しやすいですか?
- はい。セルフケアが難しくなり、急速に歯周病が進行しやすくなります。
④ 栄養・オーラルフレイルとの関係
- 口腔機能低下は認知症と関係しますか?
- はい。オーラルフレイル(口腔機能低下)は、フレイル・サルコペニア・認知症と連鎖的に進行します。
- 噛めないと栄養状態はどうなりますか?
- たんぱく質不足・ビタミンB群・鉄不足・低栄養が起こり、脳機能低下のリスクが高まります。
- 義歯が合わないまま使うとどうなりますか?
- 痛みや不快感から食事量が減り、低栄養と認知機能低下を助長します。
⑤ 誤嚥性肺炎との関係
- 認知症の人は誤嚥性肺炎になりやすいですか?
- はい。嚥下反射・咳反射の低下により非常に高リスクです。
- 口腔ケアは誤嚥性肺炎予防になりますか?
- はい。口腔内細菌数を減らすことが最も重要な予防策の一つです。
- 歯が無い人でも口腔ケアは必要ですか?
- 必要です。舌・粘膜・義歯表面に細菌が大量に付着します。
⑥ 治療・対応の考え方
- 認知症の人に歯科治療はできますか?
- 可能です。病期に応じた治療選択と説明方法が重要です。
- 早期・中期・後期で対応は変わりますか?
- はい。早期:通常治療+予防強化
中期:侵襲の少ない治療、義歯調整中心
後期:痛み・感染管理と生活支援重視
- 無理な延命的歯科治療は必要ですか?
- 必ずしも必要ではなく、QOLと安全性を最優先します。
⑦ インプラント・義歯管理
- 認知症の人にインプラントは問題になりますか?
- 清掃困難になるとインプラント周囲炎や誤嚥リスクが高まります。
- 将来認知症になった場合、インプラントはどうしますか?
- 状況により上部構造撤去
オーバーデンチャー化
など、清掃の管理がしやすい形へ変更します。
- 義歯は認知症の人に適していますか?
- はい。取り外し可能で調整できる義歯は管理面で有利です。
⑧ 介護・家族への視点
- 家族ができる口腔ケアのポイントは?
-
無理に開口させない
短時間・毎日
声かけをしながら
が重要です。
- 口腔ケアを拒否する場合は?
- 時間帯・声かけ・姿勢を工夫し、「治療」より「生活の一部」として行います。
- 訪問歯科は有効ですか?
- 非常に有効です。生活環境に合わせたケアと治療が可能です。
⑨ 予防としての歯科の役割
- 認知症予防に歯科でできることは?
- 歯周病予防
咀嚼機能維持
義歯の適切な管理
オーラルフレイル対策
- 定期歯科受診は重要ですか?
- はい。認知症予防・進行抑制の一要素と考えられています。
⑩ まとめ
- 認知症と歯科の最も重要な関係は何ですか?
-
「噛む・食べる・話す・清潔を保つ」ことを支え、
認知症の進行と合併症を防ぐ役割です。
- 認知症になっても歯科は必要ですか?
- 必要です。むしろ認知症になってからこそ歯科の関与が重要です。
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