筋筋膜性疼痛(Myofascial Pain)Q&A集
基本概念
- 筋筋膜性疼痛とは何ですか?
- 筋肉や筋膜に生じる過緊張や血流障害により、持続的な痛みや違和感を引き起こす慢性疼痛です。
- 炎症性疼痛とは何が違いますか?
- 明確な炎症や器質的異常が乏しく、筋緊張や神経過敏が主因です。
- レントゲンやMRIで異常が出ますか?
- 多くの場合、画像所見に明確な異常は認められません。
- なぜ「原因不明の痛み」と言われやすいのですか?
- 客観的所見が乏しく、症状が多彩で変動しやすいためです。
- 慢性化しやすい理由は何ですか?
- 姿勢、ストレス、生活習慣など複数因子が関与するためです。
症状・特徴
- どのような痛みが特徴ですか?
- 鈍痛、重だるさ、締め付け感、疲労感などが多いです。
- 動かすと痛みますか?
- 動作開始時や持続使用で痛みが増すことがあります。
- 押すと痛い部位はありますか?
- 圧痛点(トリガーポイント)が認められることが多いです。
- 痛みが離れた場所に出ることはありますか?
- はい、関連痛として別部位に痛みを感じることがあります。
- 日によって痛みが変わるのはなぜですか?
- 筋緊張や自律神経状態が日々変動するためです。
顎関節・歯科との関係
- 顎関節症と関係がありますか?
- 深く関係しており、顎関節症の主因が筋筋膜性疼痛の場合も多いです。
- 咀嚼筋が原因になることはありますか?
- はい、咬筋・側頭筋・内外翼突筋が関与します。
- 歯の痛みと間違われることはありますか?
- よくあり、非歯原性歯痛の原因となります。
- 歯科治療後に痛みが出ることはありますか?
- 開口保持や筋疲労が誘因になることがあります。
- 噛み合わせは関係しますか?
- 単独原因ではありませんが、筋緊張を助長する場合があります。
原因・誘因
- 主な原因は何ですか?
- 筋の過緊張、血流低下、神経過敏、ストレスです。
- ストレスは関係しますか?
- 非常に深く関係します。
- 姿勢の悪さは影響しますか?
- 頸部・肩・顎の筋緊張を引き起こします。
- 食いしばりや歯ぎしりは関係しますか?
- 重要な誘因の一つです。
- 睡眠不足は影響しますか?
- 筋回復が妨げられ、疼痛が悪化します。
診断
- 診断はどのように行いますか?
- 問診・触診・圧痛確認が中心です。
- 血液検査は必要ですか?
- 通常は不要ですが、他疾患除外のため行う場合があります。
- 除外診断が重要ですか?
- はい、歯性疼痛や神経痛との鑑別が重要です。
- 客観的評価は可能ですか?
- 痛みスケールや開口量、筋圧痛で評価します。
治療
- 治療の基本は何ですか?
- 筋緊張の緩和と生活習慣改善です。
- 薬物療法は有効ですか?
- 鎮痛薬や筋弛緩薬が補助的に用いられます。
- マウスピースは効果がありますか?
- 食いしばり軽減に有効な場合があります。
- 理学療法は有効ですか?
- ストレッチや温熱療法が効果的です。
- トリガーポイント治療とは何ですか?
- 圧痛点を緩める手技療法です。
生活指導・セルフケア
- 日常生活で気をつけることは?
- 長時間同一姿勢を避けることです。
- ストレッチは有効ですか?
- 非常に有効です。
- 温めるのと冷やすのはどちらが良いですか?
- 多くは温熱が適しています。
- 咀嚼回数は関係しますか?
- 過剰なガム咀嚼などは悪化要因になります。
- スマホ使用は影響しますか?
- 頭部前方位姿勢を助長します。
全身・関連疾患
- 肩こりや首こりと関係しますか?
- 非常に強く関連します。
- 頭痛の原因になりますか?
- 緊張型頭痛の原因となります。
- 自律神経と関係しますか?
- 相互に影響し合います。
- 不安や抑うつと関連しますか?
- 疼痛の増悪因子となります。
予後・説明
- 完治しますか?
- 適切な管理で改善・寛解が期待できます。
- 再発しやすいですか?
- 生活習慣が改善されないと再発します。
- 歯を削る必要はありますか?
- 多くの場合不要です。
- 長期的管理が必要ですか?
- はい、セルフケアが重要です。
- 患者説明で重要なポイントは?
- 「筋の問題」であることを理解してもらうことです。
高齢者・訪問歯科
- 高齢者でも起こりますか?
- はい、筋力低下と関連します。
- 義歯との関係はありますか?
- 不適合義歯が筋緊張を招くことがあります。
- 訪問歯科で対応可能ですか?
- 生活指導・義歯調整・マッサージ指導が可能です。
まとめ
- 歯科が果たす役割は何ですか?
- 鑑別診断と咀嚼筋管理です。
- 医科連携は必要ですか?
- 必要に応じて心療内科・整形外科と連携します。
- 予防のポイントは?
- 姿勢・ストレス・咬合習癖の管理です。
- 患者さんに最も伝えたいことは?
- 「怖い病気ではなく、改善可能な痛み」であることです。
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