歯周病患者さんのブラッシングに関するQ&A
〜「時間がかかる」のではなく「時間をかける」理由〜
基本的な考え方
- 歯周病のブラッシングは、なぜ時間がかかるのですか?
- 「時間がかかる」のではなく、「時間をかける必要がある」からです。
現在の歯周治療では、
✔ 歯ぐきを傷つけない
✔ 炎症を悪化させない
✔ 再発を防ぐ
ことを最優先に考えます。その結果、低侵襲な磨き方=時間をかける磨き方が必要になります。
エビデンスに基づく理由
- なぜ最近のブラッシングは「やさしく・長く」なのですか?
- 推奨される条件が変わったからです。
現在推奨されるブラッシング条件は
☛ 軟毛〜中等度の毛
☛ 低加圧(約20〜25g)
☛ 小刻みな振動・微振動
📌 この条件では
👉 1回の接触で落ちるプラーク量は少ない
👉 その分、接触回数=時間が必要
となります。
- 歯周病患者さんのプラークは、普通と違うのですか?
- はい。性質が大きく異なります。
歯周病患者さんのプラークは
☛ 成熟している
☛ 粘り気が強い
☛ バイオフィルム構造が強固
さらに
✔ 歯と歯ぐきの境目
✔ 歯間部
✔ 歯周ポケット入口
に集中しています。
👉 短時間では破壊しきれないのが現実です。
「時間=非効率」という誤解
- 時間をかけるのは、効率が悪いのでは?
- いいえ。歯周病では「時短=非効率」になります。
時短を優先すると、
☞ プラーク除去不足
☞ 歯ぐきの炎症が残る
☞ 出血が慢性化する
☞ 間違ったセルフケアが身につく
📌 特に歯周病では
「早く終わる=良いブラッシング」ではありません。
実際に必要な時間
- 歯周病の人は、どのくらい磨けばよいですか?
- 臨床的な目安は以下の通りです。
軽度:最低5分
多くの方:約10分
中等度以上:10〜15分以上
これは
❌ 不器用だから
❌ 磨き方が悪いから
ではなく、
👉 低侵襲で確実なケアをしている証拠です。
昔との違い
- 昔は短時間でも問題なかったのでは?
- 方法が違いました。
昔のブラッシング
硬めの毛
強い力
ゴシゴシ磨き
→ 短時間でも物理的に削れた
現在のブラッシング
軟毛
低加圧
微振動
→ 生体を守りながら除去するため、時間が必要
📌 これは「後退」ではなく、進化です。
患者さんへの伝え方
- 患者さんにはどう説明するとよいですか?
- 次のようにお伝えしています。
「歯ぐきを傷つけない磨き方は、
実は“時間をかけて触れ続ける”ことが大切なのです。
早く終わる磨き方は、歯周病には向いていません。」
現実的に続けるコツ
- 毎日10分以上は大変ではありませんか?
- すべての歯に同じ時間をかける必要はありません。
🌟 時間をかける部位
出血があるところ
歯周ポケット4mm以上の部位
臼歯部
歯間部
🌟 時間をかけすぎなくてよい部位
炎症のない前歯部
補綴物のない安定部位
👉 メリハリをつけて5〜10分が現実的です。
時間をかけることのメリット
- 時間をかけると、どんな良いことがありますか?
- 多くの臨床的メリットがあります。
☞ 歯肉炎症の消退が早い
☞ 再SRP(再スケーリング)の頻度が下がる
☞ セルフケア意識が向上する
☞ メインテナンス間隔が延びる
📌 結果として
👉 医療資源としては非常に効率的です。
まとめ(とても大切なポイント)
- 歯周病患者のブラッシングで最も大切な考え方は?
- 次の3点です。
🍠 歯周病患者さんにとって「時間がかかる」は欠点ではない
🍠 「時間をかけている」こと自体が治療行為
🍠 軟毛・低加圧ブラッシングは
👉 短時間で終わる設計ではない
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