🦷 ジルコニアの研磨に関するQ&A集
【基礎編】
- なぜジルコニアは研磨が重要なのですか?
- 表面粗造は対合歯の摩耗、プラーク付着、歯周炎、補綴物破折の原因になるためです。
- ジルコニアはグレーズだけでは不十分ですか?
- はい。グレーズは口腔内で摩耗・脱落しやすく、最終的には未研磨面が露出します。
- 研磨済みジルコニアとグレーズ面ではどちらが滑沢ですか?
- 適切に研磨されたジルコニアの方が滑沢であることが報告されています。
- ジルコニア研磨の目的は何ですか?
- 表面粗さの低減、対合歯摩耗の抑制、プラーク付着抑制、破折リスクの低減
- すべてのジルコニアに研磨は必要ですか?
- はい。調整の有無にかかわらず最終研磨が推奨されます。
【材料特性と研磨】
- ジルコニアはなぜ硬いのですか?
- 酸化ジルコニウムの結晶構造と相変態強化機構によるものです。
- 硬いから研磨しにくいのですか?
- はい。専用研磨材が必要です。
- 金属用やセラミック用研磨材は使えますか?
- 原則不可です。ジルコニア専用研磨材を使用します。
- 研磨でジルコニアは弱くなりませんか?
- 過度な削合や発熱がなければ問題ありません。
- 発熱は問題になりますか?
- はい。相変態やマイクロクラックの原因になります。
【臨床操作編】
- 口腔内研磨は必要ですか?
- 口腔内での咬合調整後は必須です。
- 咬合調整後に研磨しないとどうなりますか?
- 対合歯摩耗、プラーク付着、咬合性外傷のリスクが増加します。
- 研磨は何ステップ必要ですか?
- 一般的に粗研磨 → 中研磨 → 仕上げ研磨の3ステップです。
最近、2ステップで仕上げる製品も登場しています。
- ワンステップ研磨は有効ですか?
- 限界があります。多段階研磨の方が滑沢性は高いです。
- 研磨時の回転数の目安は?
- 中〜低速(約5,000〜10,000rpm)が推奨されます。
- 注水は必要ですか?
- 口腔内研磨では軽い注水が推奨されます。
- 研磨圧はどの程度が良いですか?
- 軽圧が基本です。押し付けないことが重要です。
- 研磨バーはどの方向に動かしますか?
- 一方向よりも均一な面接触を意識します。
- 咬合面と側面で研磨方法は違いますか?
- 基本は同じですが、咬合面は溝部の過研磨に注意します。
- マージン部の研磨は重要ですか?
- 非常に重要です。歯肉炎・プラーク停滞に直結します。
【対合歯・歯周組織への影響】
- 未研磨ジルコニアは対合歯を削りますか?
- はい。天然歯のエナメル質摩耗が増加します。ポーセレンも金属も同様に磨耗します。
- 研磨済みジルコニアは安全ですか?
- 適切に研磨されていれば、対合歯摩耗は少ないです。
- プラーク付着性はどうなりますか?
- 表面粗さが大きいほど付着しやすくなります。
- 歯周病患者では特に研磨が重要ですか?
- はい。歯肉炎・歯周炎悪化防止のため必須です。
- インプラント上部構造でも同様ですか?
- はい。特に清掃性確保のため重要です。
【トラブル・よくある誤解】
- グレーズが残っていれば安心ですか?
- いいえ。数ヶ月で摩耗することが多いです。
- ツヤがあれば研磨できていますか?
- 見た目だけでは判断できません。
- 研磨不足は何で分かりますか?
- 指で触ると引っかかる、対合歯が早く摩耗、プラークが付きやすい
- 研磨しすぎると形態は変わりますか?
- はい。解剖学的形態の消失に注意が必要です。
- 再研磨は可能ですか?
- 可能です。必要に応じて行います。
【歯科技工・連携編】
- 技工所研磨と口腔内研磨はどちらが重要ですか?
- 両方重要ですが、最終的には口腔内研磨が不可欠です。
- 技工研磨済みでも調整後は再研磨が必要ですか?
- はい。必須です。
- 技工指示書に研磨指定は必要ですか?
- 望ましいです。研磨レベルの共有が重要です。
- 高透過性ジルコニアでも同じですか?
- 基本は同じですが、チッピングに注意します。
- モノリシックジルコニアは研磨が特に重要ですか?
- はい。表面がそのまま機能面になります。
【患者さんへの説明】
- なぜ時間をかけて磨くのですか?
- 「表面をツルツルにして、歯や歯ぐきを守るため」です。
- 研磨しないとどうなりますか?
- 「噛み合う歯が削れたり、汚れが付きやすくなります」。
- 痛みはありますか?
- ほとんどありません。
- 一度研磨すれば終わりですか?
- 咬合調整があれば再研磨が必要です。
- ナイトガードと関係ありますか?
- 歯ぎしりがある方では特に重要です。
【総括的Q&A】
- ジルコニア研磨の本質は何ですか?
- 「硬い材料を、いかにやさしく口腔に適合させるか」です。
- 研磨は補綴の一部ですか?
- はい。仕上げではなく治療工程の一部です。
- 研磨不足は誰の責任ですか?
- 個人ではなくチーム医療の課題です。
- 歯周治療と研磨は関係しますか?
- 密接に関係します。
- 良好な予後に研磨は不可欠ですか?
- はい。長期安定の鍵です。
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