渋谷区恵比寿の歯科医院|SHIRON DENTAL OFFICE(シロンデンタルオフィス)

大きく変わった歯周基本治療の概念「ペリオドンタル・デブライドメント」とは?

近年、歯周治療の概念が大きく変わってきています。

その主役が「歯周デブライドメント」です

歯周デブライドメントとは?

歯周デブライドメントとは、歯ぐきの中(歯周ポケット)にたまった歯石(しせき)や汚れ、細菌の塊(バイオフィルム)をていねいに取り除く治療のことです。

従来の「スケーリング・ルートプレーニング(SRP)」に代わる、より歯や組織を傷つけない方法として、近年の歯周病治療の基本とされています。

 【なぜ必要なの?】

歯周病の原因は、歯と歯ぐきの間にたまる細菌のかたまり(プラークや歯石)です。

これを放っておくと、歯ぐきが腫れたり、骨が溶けてしまい、最終的には歯が抜ける原因になります。

歯ブラシでは届かない深い部分の汚れを、専門的な器具でやさしく・確実に除去するのが「デブライドメント」です。

 【どんな治療をするの?】

  • 専用の器具(超音波スケーラーや手用スケーラー)を使い、歯ぐきの中にたまった
    • 歯石(硬くなった汚れ)
    • プラーク(ネバネバした細菌)
    • 病原菌に感染した組織を、歯や歯ぐきをなるべく傷つけずに取り除きます。
  • 必要に応じて、数回に分けて処置することがあります(麻酔を使うことも)。

 【従来の治療(SRP)との違いは?】

項目スケーリング・ルートプレーニング(SRP) 歯周デブライドメント
処置の目的歯石を取り、歯根表面を滑らかにする 感染源(細菌・バイオフィルム)をやさしく除去
アプローチ機械的にガリガリ削ることが多い 歯や歯ぐきをできるだけ傷つけずに除去
処置の考え方汚れとともに、歯の表面も削る 必要以上に歯を削らない

・近年、正常な細菌叢が病原性の高い細菌叢に変わる、「ディスバイオーシス(dysbiosis)」が多くの炎症性疾患の引き金になることがわかり、歯周炎の原因も同様に考えるようになりました。

・細菌性プラーク内のディスバイオーシスが歯周組織の炎症を更新し、組織破壊が起きることが注目されています。

・細菌性プラークや歯石を根面から完全に除去できなくても、歯周組織の炎症状態が改善することが報告されています。

・根のセメント質を除去(オーバートリートメント)しなくても優しく擦り洗いするだけで99%の内毒素は除去されるというエビデンスがあります。

【歯肉縁下インスツルメーション(歯周基本治療)の現実的なゴールとは?】

・歯根表面(歯根表面にとどめるのが重要で深部までの予防拡大は厳禁)の細菌性プラークや歯石を生体が許容できる範囲まで減らして炎症が改善していく環境を作ることです。

・具体的なゴールは、「ポケットの閉鎖」で、歯周基本治療後に4mm以下の歯周ポケットになることです。

・文献では、4mm以上のポケットは平均で70%の深さまで改善されることがわかりました。

・「4mm以下の歯周ポケット」は、その後歯を失うリスクを大幅に軽減できるというエビデンスから、メインテナンスが容易にできる歯周ポケット4mm以下にすることが極めて重要です。

【喫煙は歯周ポケット改善にも大敵!】

・歯周ポケットの閉鎖率は、非喫煙者>喫煙者

【よくあるご質問】

Q. 痛みはありますか?
A. 深いポケットがある場合は、麻酔を使って痛みを抑えますのでご安心ください。

Q. 何回くらい通うの?
A. お口の状態によりますが、数回〜数週間に分けて行うことが多いです。

Q. 終わったらもう大丈夫?
A. デブライドメントは「治療のスタート」です。その後のメンテナンス(定期検診やクリーニング)がとても大切です。


 【まとめ】

  • 歯周デブライドメントは「やさしい歯周治療
  • 歯ぐきの中の汚れ・細菌を根本から取り除く
  • 歯や歯ぐきを傷つけないで、歯を長持ちさせるための治療
  • 治療後も、定期的なメンテナンスが重要

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