🍠歯とピロリ菌のお話し
歯科とピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、一見無関係に思えますが、実は密接な関係があることが近年明らかになっています。
主に以下の3つの側面から、その関係を詳しく解説します。
1. ピロリ菌の口腔内における存在と感染経路
ピロリ菌は胃に生息する細菌として知られていますが、実は口腔内にも存在することがわかっています。
特に、歯垢(プラーク)や歯周ポケット、舌苔(ぜったい)などから検出されることがあります。
感染経路としての口腔: ピロリ菌の主な感染経路は、衛生環境が十分に整っていなかった時代に幼少期に感染する「経口感染」と考えられています。
具体的には、汚染された水や食べ物、あるいは家族内での口移しや食器の共有などを介して感染するとされています。
口腔内での定着: 一度胃に感染したピロリ菌が、胃酸の逆流などによって口腔内に戻ってくることがあります。また、口腔内の衛生状態が悪いと、ピロリ菌が口腔内に定着しやすくなると考えられています。
2. 口腔疾患とピロリ菌の関連性
ピロリ菌の存在は、いくつかの口腔疾患と深く関連していることが指摘されています。
☺歯周病: ピロリ菌は、歯周病の原因菌と共存し、歯茎の炎症を悪化させる要因になると考えられています。
歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなると、ピロリ菌が定着しやすくなるため、さらに歯周病の悪化につながるという悪循環が起こる可能性があります。
☺口臭: ピロリ菌が口腔内で増殖すると、揮発性硫化物を生成し、口臭の原因になることがあります。
また、胃の不調が原因で発生する口臭にも、ピロリ菌が間接的に関与していると考えられています。
😺虫歯と除菌治療: 虫歯がある人は、ピロリ菌の除菌治療が成功しにくいという研究結果が報告されています。
これは、虫歯の深い部分にピロリ菌が潜んでいると、抗菌薬が浸透しにくいためと考えられています。
3. 除菌治療と口腔ケア
胃のピロリ菌を除菌しても、口腔内にピロリ菌が残っていると、再感染のリスクが高まる可能性があります。
😽再感染源としての口腔: 歯周病や虫歯など、口腔内にピロリ菌が潜む場所がある場合、除菌治療後に再び胃に感染するリスクがあることが指摘されています。
😽除菌治療後の口腔ケアの重要性: 胃のピロリ菌除菌治療が成功した後も、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。
適切な歯磨きやフロスの使用、定期的な歯科検診によって、歯周病や虫歯を治療・予防し、口腔内の衛生状態を良好に保つことが、ピロリ菌の再感染を防ぐことにもつながります。
😸まとめ
1 ピロリ菌と歯科との関係は、単に口から感染するというだけでなく、ピロリ菌が口腔内の疾患(特に歯周病や虫歯)に影響を与え、またそれらの疾患がピロリ菌の除菌治療の成否や再感染リスクに影響するという、相互的な関係にあります。
2 胃の健康を守るためにも、口腔内の衛生状態を良好に保つことが非常に大切です。
3 定期的な歯科検診と日々の丁寧な口腔ケアを心がけ、歯周病や虫歯の予防・治療を行うことが、全身の健康維持にもつながります。