🌿 前歯審美補綴 Q&A集
1.治療の目的・基本編
- 前歯の審美補綴(ほてつ)とは何ですか?
- 前歯の見た目(色・形・透明感・位置)と機能を整えるための補綴(ほてつ)治療です。
- セラミック治療と審美補綴(ほてつ)の違いは?
- セラミック治療はセラミック材料を使用した治療、審美補綴は、特に見た目の改善を高い水準で達成することを目的とした補綴治療が主目的です。
- 前歯補綴で改善できるのはどんなことですか?
- 色の改善、形の改善、すき間(ダイアステマ)の改善、すり減りの改善、歯並びの軽度のズレの改善
などです。
- 前歯のセラミックはどれくらい自然に見えますか?
- 隣の歯とほとんど見分けがつかないレベルに再現できます。
- 年齢によって適応が変わりますか?
- 成長期(未成年)は慎重になりますが、成人であれば幅広く適応します。
2.材料の違いについて
- ジルコニアとポーセレンセラミックの違いは?
- セラミックの中にジルコニアが含まれる
ジルコニア:強度が高い・透明感はポーセレンに劣る
ポーセレン:透明感が非常に高く、審美性が最も優れる。強度はジルコニアに劣る
- ラミネートベニアとは?
- 歯の表面を薄く削るか全く削らないで薄いセラミックを接着剤で貼り付ける審美治療です。
- 前歯にはどの材料が最適ですか?
- 自然感を最重視するならポーセレンセラミックもしくはジルコニアセラミック、割れにくさならジルコニア単体(モノリシックジルコニア)です。
- セラミックの色はどのように決めますか?
- シェードガイドや写真、口元全体の雰囲気をみて決めます。
- メタルボンド(内側金属)は前歯に使いますか?
- はい、用います。ジルコニアが登臨床で活発に使用されるようになるまで主役でした。オールセラミッククラウンに比べ透明感が落ちるため審美目的ならオールセラミックが一般的です。
3.治療の流れ編
- 治療期間はどれくらいですか?
- 通常は2〜3回の通院、期間にして1〜3週間程度です。
- 事前にホワイトニングをするべきですか?
- セラミックの色をより合わせやすくするために推奨されます。
- 仮歯の期間はどれくらい?
- 1〜2週間程度が一般的です。
- 仮歯は見た目が不自然ですか?
- 仮歯であってもかなり自然観を回復できます。見た目をより調整して改善することも可能です。
- 型採りは苦しいですか?
- はい。従来の方法であれば、型の材料が固まるまで2~5分待つ必要があります。現在は、ペンタイプの光学スキャンで口腔内を計測して楽に形を写し取れる場合があります。
4.見た目・色・形に関する質問
- 前歯の長さは調整できますか?
- できます。上口唇下縁のラインを参考に笑ったときのバランスを見て決定します。
- 「出っ歯」をセラミックで内側に引っ込められますか?
- 軽度なら可能ですが、骨格の問題は矯正が必要です。
- 前歯のすき間は埋められますか?
- セラミックやベニアで自然に閉じることができます。
即日にレジン修復で治せる場合もあります。
- 歯ぐきのラインが左右で違うのが気になります。整えられますか?
- 口蓋粘膜から歯肉の表層直下の部分を抜き取り外側の歯肉退職した部位に移植して治すことも可能です。
- セラミックは光を通しますか?
- 天然歯に非常に近い透明感を再現できます。
5.歯を削る量・痛みについて
- どれくらい歯を削りますか?
- 0.5〜2.0mm程度必要な場合があります。ラミネートベニア修復では0~1.0mm程度の削る量で対応できます。
- 削る時に痛みはありますか?
- 麻酔をするため痛みはほぼありません。
ラミネートべニアの場合、エナメル質内限局の切削のため麻酔は通常必要ありません。
- 神経を取らないとできない治療ですか?
- ほとんどの場合、神経を残したまま行います。
歯の方向を大幅に修正する必要がある場合、神経を取る場合もあります。
- 削る量を最小限にする方法はありますか?
- 接着ブリッジ、接着カンチレバー装置、ラミネートベニア、オクルーザルべニアや、歯の状態に合わせたミニマルプレパレーションを行います。
- 神経を残した歯は将来痛むことがありますか?
- むし歯の進行で痛みが出る場合があります。また、噛み合わせや過度な負荷により痛みが出ることがあります。
6.噛み合わせに関する質問
- 前歯だけ治すと噛み合わせが変わることはありますか?
- はい。微妙に変化することがあり、奥歯を含めた全体の調整が必要です。
- セラミックは天然歯より硬いですか?
- 一般的に硬いですが、適切な咬合調整と研磨を行えば問題ありません。
- 食いしばりが強いのですが大丈夫ですか?
- ナイトガードを併用することで破折リスクを減らせます。
- 前歯が欠けやすいのは噛み合わせが原因ですか?
- そうです。噛み合わせの改善が必要なことがあります。
また食物の趣向や悪習癖によりリスクが高まります。
- 歯ぎしりしてもセラミックは持ちますか?
- 悪習癖の予防や改善、マウスピースの適宜使用によりリスクを減らせます。
7.治療の安全性・リスク編
- セラミックは金属アレルギーの心配がありますか?
- ありません。メタルフリーで安心です。
- セラミックが割れることはありますか?
- 強い衝撃・咬合力などで割れることがあります。
- セラミックの寿命はどれくらいですか?
- 平均で10年以上、ケア次第で20年以上持つこともあります。
- 神経のある歯にセラミックを被せて、後から痛むことは?
- 口腔清掃状態が悪くカリエスリスクが高い場合、神経の炎症が起こり痛みが出る場合があります。その場合、根管治療が必要になることがあります。
- ベニアは外れますか?
- まれに外れることがありますが、接着技術の進歩で頻度は低いです。
8.治療に必要な処置について
- 前歯の歯ぐきが黒いのが気になります。治せますか?
- メラニン除去、レーザー治療で改善できます。
- 歯の根が黒くなっているのは治療できますか?
- 内部漂白(ウォーキングブリーチ)で改善を行ってからセラミック治療を行うことで可能です。
- 歯並びが少しガタガタですが矯正せずに治せますか?
- 軽度であれば補綴のみで治せます。
- 歯周病でも審美補綴できますか?
- まず歯周病治療を優先します。
- 金属の土台(メタルコア)がある場合はどうなりますか?
- 透明感が落ちるため、ファイバーコアに変更することが多いです。
土台が金属でも陶材焼付金属冠でかなりの審美回復が可能です。
9.仕上がり・自然さについて
- セラミックは人工物っぽく見えませんか?
- 透明感・色調・艶の再現性が高く、自然に仕上がります。そして半永久的に色調の変化はありません。
- 仕上がりを事前にイメージできますか?
- モックアップや仮歯でイメージ合わせが可能です。
- 歯の形は希望を伝えて良いですか?
- はい。可能な限りご希望に添えるよう対応できます。かみ合わせの関係で限界はあります。丸い形・四角い形など、個性に合わせられます。
- 1本だけでも自然になりますか?
- 隣の歯との色合わせを丁寧に行えば自然な仕上がりになります。
- 歯の透明感は調整できますか?
- 多層構造のセラミックで細かく調整できます。
10.費用・保証などについて
- 審美補綴は保険でできますか?
- セラミック治療は保険ではできません。硬質レジン前装冠などで最低限の修復は可能です。しかし、透明感はセラミック治療には及びません。
- 自費のセラミックと保険の前装冠の違いは何ですか?
- 審美性、強度、変色のしにくさ、プラークを寄せ付けない表面性状、適合精度
で大きな差があります。
- 保証はありますか?
- 多くの医院で2〜5年の保証をつけています。
- 高額なセラミックは何が違うの?
- 色調の再現性・プラークを寄せ付けない表面性状・生体親和性・精密さ・強度が大きく違います。
- 医療費控除の対象になりますか?
- はい。対象となります。
11.治療後の注意点・メインテナンス
- セラミックを入れた後の生活制限はありますか?
- 基本的にはありませんが、かみ合わせの強い方や歯ぎしりが強い方、スポーツやトレーニングを行う方はプロテクトが必要です。
- セラミックは変色しますか?
- 変色しません。
- セラミックの周りは虫歯になりますか?
- 境目の歯が虫歯になることはありますのでケアが大切です。
- セラミックの寿命を延ばす方法は?
- 定期検診、ナイトガードや噛み合わせ管理、ブラッシング、フロスや歯間ブラシの安定した口腔内環境の整備が大切です。
- クリーニングでセラミックは傷つきませんか?
- 適切な器具を使えば傷つきません。
12.トラブル対策編
- セラミックが欠けたら修理できますか?
- 欠け方により修理可能な場合と再製作が必要な場合があります。
- 歯ぐきとの境目が黒くなったのはなぜ?
- 土台の金属が透けていたり、虫歯や歯ぐき退縮によるものです。
- セラミックが浮いたように見えることがありますか?
- 適合や色調が合っていない場合に見えますが、調整可能です。
- 噛んだときに違和感があります。
- 噛み合わせの調整で改善することが多いです。
- 前歯がぐらぐらしている場合でも補綴できますか?
- 歯周病治療を優先し、動揺が落ち着いて保存可能であれば行います。
周囲の歯と連結固定して補綴する場合もあります。
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