ナイトガードについて超詳しくわかりやすく解説いたします
睡眠中の歯の健康を守る方法とは?
1 ナイトガードとは?
- ナイトガードの基本的な役割
- ナイトガードの種類
2 ナイトガードが有効な理由
- 歯ぎしり(ブラキシズム)の防止
- 顎関節症(TMD)の緩和
- 歯の摩耗防止と歯周病の予防
3 ナイトガードの種類と選び方
- オーダーメイド型 vs 市販品
- ハードタイプとソフトタイプの違い
- 自分に合ったナイトガードの選び方
4 ナイトガード使用のメリットとデメリット
- メリット一覧
- 使用にあたっての注意点
- 医師の指導が必要な理由
5ナイトガードの正しい使い方とお手入れ方法
- 毎日のケア方法
- 使用中の違和感や痛みへの対処法
- 定期的な交換のタイミング
皆さんは朝起きた際、耳下のあごの関節付近を中心とした関節や筋肉の違和感や痛み、または歯がしみたりした経験はありませんか?
それって、もしかしたら寝ている間の“歯ぎしり”や“食いしばり”が原因かもしれません。
そんな悩みを解消してくれる方法の1つが「ナイトガード」です。
ナイトガードとは、睡眠中に装着するマウスピースのことです。
歯や顎を守り、お口の中やお顔周りのトラブルの予防に役立ちます。
1 ナイトガードとは?
ナイトガードの基本的な役割
ナイトガードとは、主に夜間睡眠時に装着する歯科用マウスピースのことです。
目的は、歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を保護することです。
素材は柔らかいシリーコン製や硬質のプラスチック製などあり、歯や顎にフィットするように作られています。
多くの人が無意識の寝ている間に歯を強く噛み締めており、その力はなんとご自身の体重以上にもなることもあります。
この状態が続くと歯の表面がすり減ったり、詰め物が割れたり、最悪の場合、歯が割れてしまうこともあります。
ナイトガードは、こうした力を分散させ、歯と顎の関節にかかる負担を減らしてくれる重要なツールです。
また、単なる物理的な防御だけでなく、ナイトガードをつけることで「歯ぎしりしてはいけない」という無意識の抑制にもつながります。ストレスや日中の姿勢が原因で食いしばりをしている人も、夜間のナイトガードで改善する場合もあります。
2 ナイトガードの種類
ナイトガードには大きく分けて3種類あります。
1. オーダーメイド型(歯科医院で作成)
歯科医師が個人の歯型をとって作るため、フィット感が抜群で違和感が少なく、長時間の装着でもストレスがないのが特徴。ただし価格はやや高め。
2. 市販の成形型
ドラッグストアやネットで購入でき、自宅でお湯に浸して自分の歯型に合わせるタイプ。手軽で安価ですが、耐久性やフィット感にやや不安があるのが欠点。
3. 既製品タイプ
成形不要の汎用サイズで、誰でもすぐに使えるのがメリット。ただしサイズが合わないことも多く、違和感を感じやすいのが欠点。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分のライフスタイルや症状に合わせて選ぶことが重要です。
2 ナイトガードが有効な理由
1) 歯ぎしり(ブラキシズム)の防止
2) 顎関節症(TMD)の緩和
3) 歯の摩耗防止と歯周病の予防
3 ナイトガードの種類と選び方
1)オーダーメイド型 vs 市販品
2)ハードタイプとソフトタイプの違い
3)自分に合ったナイトガードの選び方
4 ナイトガード使用のメリットとデメリット
1)メリット一覧
2)使用にあたっての注意点
4) 医師の指導が必要な理由
5 ナイトガードの正しい使い方とお手入れ方法
1) 毎日のケア方法
2) 使用中の違和感や痛みへの対処法
3) 定期的な交換のタイミング
ナイトガードが有効な理由
歯ぎしり(ブラキシズム)の防止
ナイトガードがもたらす効果の1つが、「歯ぎしり」の防止効果です。
歯ぎしり(正式にはブラキシズム)は、無意識のうちに行われる習慣で、睡眠中によく起こります。
原因はストレスや不安、噛み合わせの異常、姿勢の悪さなど様々で、これを放置すると、歯がすり減り、詰め物が割れたり、知覚過敏になったりする原因となります。
ナイトガードは、上下の歯の間にクッションを入れる役割を果たし、歯が直接接触するのを防ぎます。これにより、歯がすり減ったり、顎の関節に負担がかかるのを防止します。
さらに、ナイトガードを装着していることで「今、歯ぎしりしている」という気付きにもつながり、長期的には歯ぎしり自体の頻度を減らす可能性もあります。
歯ぎしりによる肩こりや頭痛、睡眠の質の低下などの副次的な問題にもアプローチできるため、「最近、朝起きると疲れている…」と感じる人は、ナイトガードを試してみることも有効で問題が生じれば外しておくことで元の状態に戻せます。
顎関節症(TMD)の緩和
顎関節症またはTMD(Temporomandibular Disorders)は、顎から音が出たり口が開けにくくなったる開かなくなったり、顎や筋肉に痛みを伴ったりする状態です。この症状も、実は就寝中の無意識の食いしばりが原因になることがあります。
ナイトガードを装着することで、顎の筋肉や関節にかかる過度な負荷が軽減され、関節が正しい位置に安定しやすくなります。実際に、TMDの患者さんが、ナイトガードの使用により痛みが緩和した、開口しやすくなったケースも多く報告されています。
とくに、ハードタイプのナイトガードは顎関節の位置を安定させる効果が高く、歯科医師の管理のもとで使用することでTMD治療の一環としても非常に有効です。
それに対し、ソフトタイプのものは効果が少なく、逆に症状が悪化するケースも報告されています。
歯の摩耗防止と歯周病の予防
歯ぎしりや食いしばりによって、歯のエナメル質が削れてしまうと、知覚過敏や虫歯のリスクが上がります。加えて、力に集中して負荷かかることで歯が割れる、歯根が露出する、最悪の場合は歯が抜けてしまうこともあります。
これを防いでくれるのが、ナイトガードです。
また、強い圧力が歯茎に加わると、歯周組織がダメージを受け、歯周病が悪化する原因にもなります。
ナイトガードはこの圧力を吸収・分散し、歯茎や骨へのダメージを最小限に抑えてくれます。 見た目にはわからない“静かなる破壊者”とも言える歯の摩耗や歯周病を、寝ている間に未然に防げる可能性があります。
3 ナイトガードの種類と選び方
オーダーメイド型 vs 市販品
ナイトガードを作りたいと思った時、最初に迷うのが「歯科医院で作るべきか」「市販で間に合わせるか」という選択。
結論から言うと、間違いなくオーダーメイド型をおすすめします。
オーダーメイド型は、歯科医院で精密に歯型を取り、自分の口に完全にフィットするよう作られます。装着時の違和感が少なく、ズレにくいため、長時間使ってもストレスが少ないのが特徴。
一方、市販品は価格が手頃で手軽に試せるメリットがあるものの、サイズが合わずズレやすい、装着感が悪いなどのデメリットもあります。
短期間の応急処置としては市販品もアリですが、長く使うのであれば、医師と相談して自分専用のガードを作るのがベストです。
ハードタイプとソフトタイプの違い
ナイトガードの素材にも2種類あります。
- ハードタイプ(硬質レジン製):歯科医院で使われることが多く、耐久性が高く、歯や顎の位置をしっかり固定できるため、重度の食いしばりやTMDに適しています。ただし、少し装着感が強く、慣れるまで時間がかかることも。
- ソフトタイプ(シリコーン製):軽度の症状向け。装着感が柔らかく、初めての人でも受け入れやすいですが、長期間使用すると劣化しやすく、噛み合わせの調整も難しいという欠点があります。
現在その使用に関して、否定的な考えが多いです。
顎の位置が不安定となるので使用に際しては歯科医師と十分な話し合いが必要です。
どちらを選ぶかは症状の重さにもよりますが、基本的にはハードタイプを選択するべきと考えられます。
自分に合ったナイトガードの選び方
ナイトガード選びで最も重要なのは、「自分の症状や歯の形に合ったものを選ぶこと」。
そのためには歯科医師に相談して適切なタイプを作ることが何より大切です。
4 ナイトガード使用のメリットとデメリット
メリット一覧
ナイトガードの使用には、多くの健康的メリットがあります。以下にその代表的な利点を詳しく紹介します。
- 歯の保護
歯ぎしりや食いしばりによって、歯は大きなダメージを受けます。ナイトガードはその摩耗や破損を防ぎ、天然の歯を長持ちさせる手助けをします。 - 顎関節への負担軽減
無意識の噛みしめによって顎関節にかかる力を吸収・分散するため、TMD(顎関節症)の予防・改善にも非常に効果的です。 - 詰め物・被せ物の保護
歯科治療で入れたクラウンやインレーも歯ぎしりで壊れやすくなります。
ナイトガードはそれらを守る重要なバリアです。
- 頭痛・肩こりの軽減
歯ぎしりによって顔面や肩の筋肉が緊張し、結果的に慢性的な肩こりや頭痛に悩まされることも。ナイトガードを使うことで、これらの症状が改善する人もいます。 - 睡眠の質向上
歯ぎしりの音や顎の緊張から解放されることで、より深い眠りが得られるという報告もあります。家族やパートナーへの騒音対策にもなります。
ナイトガードは、「ただのマウスピース」ではなく、口腔から全身の健康を守るための大切なツールと言えます。
5 使用にあたっての注意点
一方で、ナイトガードには使用時に注意すべき点もいくつかあります。これらを理解し、正しく使うことが大切です。
★顎や筋肉の痛み
装着することで痛みが出る場合があります。
初期に起こる痛みは使用を続けることで消失する場合も多いですが、継続して痛みがある場合は歯科医師の診断が必要で、使用の中止が求められます。
- 装着時の違和感
特に市販のものや合わないものを使うと、口の中に異物感を覚えやすく、逆に睡眠を妨げてしまうことがあります。 - 長時間使用による影響
過度に長期間ナイトガードを使い続けると、かえって噛み合わせのバランスが崩れてしまうケースも。違和感を放置せず、定期的なチェックが重要です。 - 汚れ・細菌の繁殖
毎晩使用するものだからこそ、適切な洗浄と乾燥が不可欠。清潔に保たないと、口臭や口内炎の原因になる可能性もあります。 - 素材アレルギー
まれに、使用している素材(シリコンやプラスチック)にアレルギー反応を示す方もいます。異常が見られた場合はすぐに使用を中止し、歯科医師に相談を。
メリットだけに目を向けるのではなく、リスクも理解した上で使うことが、安全で快適なナイトガード治療を行うコツです。
医師の指導が必要な理由
ナイトガードは「市販で買えるから自分で選べばいい」と思われがちですが、実際には専門的な判断が非常に重要です。なぜなら、症状によってはナイトガードの使い方が逆効果になることもあるからです。
たとえば、すでに顎関節症が進行している人にとっては、間違った形のナイトガードが症状を悪化させることがあります。歯並びや噛み合わせの異常がある場合も、慎重な診断とカスタマイズが必要です。
また、ナイトガードが原因で歯列がずれてしまうこともあり、それを防ぐためには定期的な歯科でのチェックが欠かせません。オーダーメイドのものを作る際にも、調整や再成形が必要なことも多いです。
さらに、ナイトガードの素材選び、厚みの設定、装着時間の調整など、専門知識がなければ難しい判断がたくさんあります。「なんとなく合わないな…」と思ったら、すぐに自己判断せず、歯科医師に相談するのがベストです。
ナイトガードは医療機器の一つ。しっかりと歯科医師とタッグを組んで、自分に最適な使い方を見つけましょう。
6 ナイトガードの正しい使い方とお手入れ方法
毎日のケア方法
ナイトガードは毎晩使うものだからこそ、「使ったらそのまま放置」ではなく、正しいケアがとても大切です。適切に手入れをしないと、細菌が繁殖し、口臭や歯周病、さらには体調不良の原因にもなりかねません。以下に、日常でできる基本的なケア方法を紹介します。
● 使用後すぐに水洗い
起きたらすぐ、ナイトガードを水かぬるま湯でよく洗いましょう。
● 専用のブラシを使って軽くこすり洗い
専用の柔らかいブラシを使って、歯磨き粉なしで優しくこすります。研磨剤入りの歯磨き粉は、ナイトガードの表面を傷つけてしまうためNG。
● 除菌剤・専用洗浄剤の使用
水洗いでは取れない細菌の除去を行います。毎日1回は、ナイトガード専用のクリーナーで除菌をします。
スプレー式のムースタイプから水に溶かして使う錠剤タイプなど多くの種類があります
● 完全に乾燥させてから保管
洗った後は、しっかり乾燥させることが大事。湿ったままケースに入れるとカビや細菌が繁殖します。風通しの良い場所で自然乾燥が理想的です。
● ケースも清潔に
保管ケースも定期的に水洗い&乾燥を忘れずに。汚れたケースに入れると、せっかくキレイにしたナイトガードが台無しです。 清潔を保つための習慣は、口腔内の健康を守る第一歩。毎日のちょっとした手間が、長期的には大きな差になりますよ。
使用中の違和感や痛みへの対処法
「ナイトガードを使い始めたけど、なんだか違和感がある」「寝ている間に痛くなって外してしまう」——そんな悩みを抱えている方も多いです。ここでは、よくある違和感の原因と対処法をご紹介します。
● 最初の違和感は“慣れ”が必要
初めてナイトガードを装着する人の多くが、異物感や喋りにくさを感じますが、これらは数日〜1週間ほどで自然に慣れることがほとんどです。
● 痛みや圧迫感がある場合は調整が必要
歯や歯茎が痛くなる場合、それはサイズや形が合っていないサイン。無理に我慢せず、歯科医に相談して調整してもらいましょう。特にオーダーメイドのナイトガードであれば、細かな微調整が可能です。
● 無意識に外してしまう場合
就寝中に無意識に外してしまうのは、口腔内の違和感かストレスが原因かもしれません。軽くて柔らかい素材に変えることで改善する場合があります。
● 噛み合わせの違和感
使い始めてから噛み合わせに違和感を感じる場合、それはナイトガードの厚さや位置が原因かも。これも歯科医による調整が必須です。
どんなに良い製品でも、「自分にフィットする」ことが最重要。小さな違和感も見逃さず、歯科医師と連携して快適な使用を目指しましょう。
定期的な交換のタイミング
ナイトガードは一度作れば永遠に使えるというわけではありません。素材や使用頻度によって寿命は異なりますが、定期的な交換が必要です。
歯科医師に相談しましょう。
● 一般的な寿命
- 市販のソフトタイプ:3〜6ヶ月程度
- 歯科医院のハードタイプ:1〜3年程度
ただし、これはあくまで目安。以下のような状態が見られたら、早めに交換を検討しましょう。
● 交換のサイン
- 表面に深い傷や割れがある
- フィット感が悪くなった
- 清掃してもニオイが取れない
- 歯ぎしりで素材が削れてしまっている
- 顎関節に痛みや違和感を感じるようになった
ナイトガードは「消耗品」として捉え、定期的に歯科でのチェックを受けながら、必要に応じて新しいものに交換していくのが理想です。
まとめ:ナイトガードは口腔の守護者
ナイトガードは、歯や顎、そして体全体の健康を守るための強力なアイテムです。歯ぎしりや顎関節症、歯の摩耗などのトラブルを未然に防ぎ、快適な睡眠と生活を支えてくれる“夜の守護者”といえる存在。
ただし、その効果を最大限に引き出すためには、自分に合ったものを選び、正しく使い、しっかりケアすることが不可欠です。症状がある場合は自己判断せず、信頼できる歯科医に相談して、オーダーメイドでの作製を検討しましょう。
ナイトガードは、ただ「つけるだけ」ではなく、日々のケアと意識によって、その価値を高められるアイテムです。今日からでも、自分の歯と健康を守る一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
まずは歯科医師にお気軽にご相談下さい。