よりよい睡眠のために、
自分でできること
― 睡眠のリズム・光・呼吸・寝る姿勢、
そしてお口との関係 ―
「なかなか眠れない」
「夜中に目が覚めて、
その後眠れない」
「家族からいびきを指摘される」
睡眠について、
このような悩みを持つ方は
少なくありません。
睡眠は、単純に
「何時間眠ればよい」
というものではありません。
どのくらい眠るのか。
いつ眠るのか。
眠る前をどう過ごすのか。
どのような光を浴びるのか。
そして、睡眠中に呼吸が
妨げられていないか。
さまざまな要素が
睡眠に関係しています。
毎日の生活の中でできる工夫について、
睡眠とお口の関係も含めて
考えてみましょう。
■ 睡眠は「時間」だけでなく
「いつ眠るか」も大切です
平日の睡眠不足を取り戻そうと、
休日に朝遅くまで眠る方も
いると思います。
不足した睡眠を長めに眠ることで、
ある程度補うことはできます。
しかし、睡眠は単純に
「貯金」しておけるものではありません。
「平日は睡眠不足でも、
休日に寝だめすれば大丈夫」
と考えるのは
おすすめできません。
さらに、休日になると
寝る時間と起きる時間が
大きく遅くなる生活を続けていると、
体内時計もずれてしまいます。
このような平日と休日の
睡眠時間帯のずれは、
「社会的時差ぼけ
(ソーシャル・ジェットラグ)」
と呼ばれます。
そこで意識したいのが、
睡眠時間の長さだけではありません。
睡眠時間帯の中央が、
大きくずれないようにすることです。
たとえば、
平日 23時~7時
休日 2時~10時
では、どちらも8時間眠っています。
しかし、睡眠時間帯の中央は
3時間ずれています。
「何時間眠ったか」だけでなく、
「いつ眠り、
いつ起きているか」
も大切です。
できるだけ大きく変化させないことが、
睡眠・覚醒のリズムを整えるうえで
大切です。
■ 眠れないときは、
無理に寝床に居続けない
「早く眠らなければ」と考えるほど、
かえって目が冴えてしまった経験は
ありませんか。
なかなか眠れないときには、
無理に寝床で眠ろうとし続けるのではなく、
いったん寝床を離れる方法があります。
薄暗い場所で読書をするなど、
刺激の少ないリラックスできることをして、
眠気を感じてから
再び寝床へ戻ります。
これは、不眠症に対する
認知行動療法でも用いられる
「刺激制御」という考え方につながります。
大切なのは、寝床を
「眠れずに頑張る場所」
にしないことです。
■ 夜は「光」にも
気をつけましょう
私たちの身体には、
昼と夜のリズムを調節する
体内時計があります。
そして、光は体内時計に影響する
重要な情報の一つです。
就寝前まで明るい照明を浴び続けたり、
強い光を目にしたりすると、
眠るための身体の準備に
影響することがあります。
そのため、夜は部屋の照明を
少しずつ落とし、
寝室もできるだけ暗くしていくことが
考えられます。
夜中にトイレへ行く場合にも、
部屋全体を明るくするのではなく、
足元灯や低い位置の照明など、
必要最小限の光にする方法があります。
ただし、特に高齢の方では、
暗くすることより
転倒を防ぐことが優先です。
安全を確保できる範囲で
照明を工夫してください。
■ スマートフォンは
「使うか、使わないか」だけではありません
「寝る前のスマートフォンは
絶対にダメ」
と考えている方も
多いかもしれません。
もちろん、明るい画面を
長時間見続けたり、
SNS、ゲーム、仕事などによって
頭が覚醒してしまったりすれば、
睡眠を妨げる可能性があります。
一方で問題は、
スマートフォンという機器そのものだけでは
ありません。
光の強さ。
使用時間。
見る内容。
そして、使うことで
眠る時間が遅くなっていないか。
こうした点も関係します。
寝床で使用する場合にも、
明るさを抑える。
長時間使用しない。
眠気を妨げるような内容を避ける。
などの工夫が大切です。
■ ゆっくりした呼吸で、
身体を休む準備を
眠る前に、ゆっくり呼吸することも
リラックスする方法の一つです。
ポイントは、
たくさん空気を吸うことではありません。
無理のない範囲でゆっくり吸い、
さらにゆっくりと息を吐いていきます。
さまざまな呼吸法がありますが、
特定の秒数に無理に合わせる必要はありません。
「ゆっくり吸って、
さらにゆっくり吐く」
くらいから始めてよいでしょう。
呼吸法は、
「これをすれば必ず眠れる」
という治療ではありません。
眠ろうと頑張るためではなく、
身体の余計な力を抜き、
眠る準備をするための方法の一つとして
考えてみてください。
■ いびきは
「寝る姿勢」で変わることがあります
いびきは、睡眠中に上気道が狭くなり、
空気が通る際に周囲の組織が振動することで
生じます。
人によっては、仰向けになることで
舌などが後方へ移動し、
いびきや睡眠時無呼吸が
悪化することがあります。
このような場合には、
横向きで眠ることで、
いびきや睡眠中の呼吸が
改善することがあります。
ただし、すべてのいびきに
横向き寝が有効なわけではありません。
また、
「横向きで寝れば
睡眠時無呼吸が治る」
ということでもありません。
強いいびきや無呼吸を
指摘されている場合には、
寝る姿勢だけで判断せず、
必要な検査を受けることが大切です。
■ 舌やお口のトレーニングと、
いびき
舌は、
食べる。
飲み込む。
話す。
ためだけに働いているわけではありません。
舌やその周囲の組織は、
睡眠中の呼吸の通り道である
上気道とも深く関係しています。
近年では、舌や唇、頬、
口腔・咽頭周囲の筋肉を動かす
トレーニングと、
いびきや閉塞性睡眠時無呼吸
(OSA)との関係についても
研究されています。
いくつかの研究では、
こうしたトレーニングによって、
いびきや睡眠に関する症状が
改善する可能性が報告されています。
しかし、ここは慎重に
考える必要があります。
「舌を鍛えれば、
いびきや睡眠時無呼吸が治る」
ということではありません。
睡眠時無呼吸には、
鼻や喉。
扁桃や軟口蓋。
舌や顎の形態。
肥満。
加齢。
睡眠中の筋肉の働き。
など、さまざまな要因が関係します。
そのため、舌やお口のトレーニングは、
必要に応じて取り入れる方法の一つとして
考えることが大切です。
■ 歯科だから
気づけることがあります
歯科では、
歯や歯ぐきだけを見ているわけではありません。
舌の大きさや位置。
舌の動き。
舌圧。
顎の形態。
噛み合わせ。
口腔乾燥。
口呼吸。
など、お口のさまざまな状態を
確認できます。
また、患者さんとの会話から、
強いいびき。
睡眠中の無呼吸。
起床時の口腔乾燥。
日中の強い眠気。
などに気づくこともあります。
そこから、
「睡眠中の呼吸について、
一度詳しく調べた方がよいのではないか」
と考えることがあります。
ただし、お口の状態だけで
睡眠時無呼吸を診断することはできません。
睡眠時無呼吸が疑われる場合には、
睡眠医療を行う医療機関で
適切な検査・診断を受けることが重要です。
■ 睡眠を
「一つの方法」だけで考えない
睡眠を整えるために大切なのは、
「これをすれば眠れる」
という一つの方法を
探すことではありません。
何時間眠っているのか。
いつ眠っているのか。
夜にどのような光を浴びているのか。
眠れないときに
どう過ごしているのか。
身体をリラックスさせられているのか。
そして、
睡眠中に呼吸が
妨げられていないか。
こうしたさまざまな要素を
分けて考えることが大切です。
そして歯科では、その中でも特に、
舌や顎、お口の働きと
睡眠中の呼吸との関係に
気づけることがあります。
SHIRON DENTAL OFFICEでは、
睡眠そのものを歯科だけで判断するのではなく、
必要に応じて医科と連携しながら、
お口から睡眠中の呼吸を
考えていきます。


